レギュラーの決め手を欠く二塁
勝負強い打撃が武器の浅村
ペナントレースはラストスパートに入った。
阪神はクライマックスシリーズ圏内の3位から2位・
DeNAと5ゲーム差を縮めたいところだが、1.5ゲーム差で4位・
巨人も追いかけてきている。残り8試合。ヒリヒリした戦いが続きそうだ。
投手陣はリーグ屈指の陣容だが、問題は打線だ。四番として期待された
佐藤輝明が伸び悩み、主軸を担うはずだった
ロハス・ジュニア、
ジェフリー・マルテの助っ人コンビも打撃不振や故障で稼働していない時期が長かった。佐藤輝、
大山悠輔ら主力も内外野を守る複数ポジション制を敷く中、レギュラーが最後まで固まらないのが二塁だった。今季は7選手がスタメン出場。
糸原健斗が54試合と最多で、
山本泰寛が40試合、
木浪聖也が18試合、
小幡竜平が13試合で続く。8月26日の
中日戦(バンテリン)では佐藤が試合途中にプロ初の二塁を守った。
「多くの選手が起用されていることは、裏を返せばレギュラーの決め手を欠いているとも言える。糸原が最も近い存在ですが、二塁の守備範囲が広いとは言えず打撃も今季はなかなか状態が上がってこない。
矢野燿大監督が今季限りで退団し、オフのFA補強は新監督とフロントの話し合いで方針を決めることになりますが、二塁が最大の補強ポイントであることは間違いない。今年のFA市場は、二塁が本職の主力選手が多いので阪神は獲得に動く可能性があると思います」(スポーツ紙デスク)
FA宣言すれば、争奪戦必至なのが
楽天・
浅村栄斗だ。広角に長打を打てる強打者で
西武時代に打点王を2度獲得。2018年オフに楽天へFA移籍以降も、19年から3年連続全試合出場して20年に本塁打王のタイトルを獲得している。西武・
外崎修汰も補強ポイントに合致する。近年は打撃不振で思うような結果を残せていないが、19年に打率.274、26本塁打、22盗塁をマーク。二塁の守備範囲が広く、球際に強い。遊撃・
源田壮亮とのコンビで再
三好守を見せ、チームを救ってきた。
ロッテ・
中村奨吾も4月18日に国内FA権の取得条件を満たした。常に安定した成績を残すのが大きな強みで、昨季まで4年連続で全試合に出場。今季は4月上旬に新型コロナウイルスの検査で陽性判定が出たため、「特例2022」で登録抹消され、連続試合出場が630試合で途切れたが、「不動の三番」としてロッテに不可欠な存在だ。
三者三様で違うタイプ
阪神を取材する記者は、「浅村の強打は大きな魅力。打線の核としてクリーンアップを任せられるでしょう。ただ、二塁をあと何年守れるかという問題がある。本拠地・甲子園が土のグラウンドで守備の負担が軽くない。その点で考えると外崎の守備力は十分に計算できる。打撃もパンチ力があり、チャンメークもポイントゲッターにもなれる。中村は浅村、外崎に比べて派手さはないが、堅実なプレースタイルで計算ができる。三者三様でタイプが違いますが、レギュラーとして十分に期待できる」と分析する。
内野の司令塔と呼ばれる二塁が固まっているチームは強い。首位を快走する
ヤクルトは前人未到のトリプルスリーを3度獲得した
山田哲人、DeNAは不動の四番に座る
牧秀悟、
広島の黄金時代には
菊池涼介が攻守で支えてきた。阪神は来季に向けてどのような戦力補強に動き出すか。少し気が早いかもしれないが、オフの動向が注目される。
写真=BBM