「常勝ソフトバンク」を象徴する選手
ソフトバンク・
松田宣浩が今季限りで退団し、他球団で現役続行の道を目指すことになった。
6度のリーグ優勝、7度の日本一に大きく貢献。松田は「常勝ソフトバンク」を象徴する選手だった。2015年に自己最多の35本塁打、94打点をマークするなど勝負強い打撃で中軸として活躍。プロ17年間で通算1910試合出場、打率.265、301本塁打、991打点をマークしている。守備では三塁で歴代最多の8度のゴールデン・グラブ賞を受賞。15年から5年連続全試合出場と心身共にタフだった。
太陽のように明るいキャラクターで、チームを盛り上げた功績も忘れられない。本塁打を放った後の「熱男~!」のパフォーマンスは、スタンドのファンを巻き込んで大盛り上がり。ベテランになっても守備やベンチで常に声を張り続けてナインを鼓舞した。ただ、近年は打撃不振と若手の台頭で出場機会が減少。20年に連続試合出場が815試合でストップすると、21年は115試合出場で打率.234、14本塁打と規定打席に届かなかった。今季はプロ入り最少の43試合出場にとどまり、打率.204、0本塁打、7打点。チームが熾烈な優勝争いを繰り広げる中、9月8日に登録抹消され、ファームで汗を流していた。
2000安打まであと169安打に迫っていたが、球団との会談で来季の戦力構想から外れたことを伝えられた。松田の決断はソフトバンク一筋の野球人生で現役生活に幕を下ろすのではなく、他球団での現役続行だった。
「40歳までプレーしたい」
今月28日に会見を開き、「17年前にプロに入って、ホークスで活躍して頑張って終わるというのが理想だったと思うんです。だけど、筑後で練習をしてきた中で、39歳なんですけど、やはり40歳までプレーしたいという気持ちが自分の気持ちの中で強かった。思い出したのが宮崎キャンプで、当時のコーチから40歳までプレーするためにとことん練習して技術を身につけようと。あのときが一番きつい練習だった。泥の味がした。40歳まであと1年、そこも引っかかりました」と思いを吐露。
さらに「本来なら一軍の舞台で何本も打たないといけないと思っていましたが、一軍ではホームラン0本でした。プロに入ってから初めての成績になります。でも、二軍で最後(9月24日の
広島戦)、ああやって1本打てたことはホームランの感触、ダイヤモンドを一周する感触、熱男をする喜びを感じることができましたので、何とか来季以降もチャンスがあれば打っていきたいなと今はそういう思いがあります」と語った。
プラスアルファが大きな選手
全盛期に比べて力が衰えたことは否めないが、獲得すればプラスアルファが大きな選手であることは間違いない。今季は三塁で9試合、一塁で16試合スタメン出場しているが、守り慣れた三塁で光り輝く印象が強い。
スポーツ紙記者は「貧打で苦しんだ
中日は三塁のレギュラーが期待された
石川昂弥が故障で長期離脱した。長距離砲として一本立ちしてほしい選手ですが、松田は攻守で良きお手本になる存在でしょう。
ロッテも獲得に乗り出す可能性があると思います。三塁を守る
安田尚憲は不動の四番として期待されますが、好不調の波が激しく物足りない。ロッテは長打を打てる選手が少ないので、松田は魅力的な選手です。同一リーグで相手球団に対応しやすいのもメリットです。実力だけでなく、あのキャラクターは
日本ハム・
新庄剛志監督が好きなタイプの選手でしょう。獲得を検討するか注目されます」と分析する。
来季はどの球団のユニフォームを身にまとい、「熱男~!」のパフォーマンスが見られるか。攻守で躍動する姿をもう一度見たい。
写真=BBM