マウンド上だけでない魅力

151キロ左腕・曽谷は上武大との関甲新学生リーグ戦[10月8日]で、4回2失点で敗戦投手。試合後、報道陣の取材に応じた
10月20日のドラフト会議まで、2週間を切った。NPB各球団とも指名選手の絞り込みの段階に入っているが10月8日、大学生サウスポーの1位指名が有力となった。
白鴎大の左腕・
曽谷龍平(4年・明桜高)である。上武大との関甲新学生リーグ戦には11球団の関係者が上武大野球場のスタンドに集結。先発した曽谷は4回2失点で敗戦投手(試合は上武大が4対0で勝利してリーグ優勝決定)となったが、スカウトはあらためて素材の良さを「最終確認」。絶賛の声が相次いだ。
「大学、社会人を含めても左でNo.1」
「12人(1位)の中に入ってくる」
「1位でないと、取れない」
何が素晴らしいのか。具体的に聞いた。
「腕の使い方など、プロでもあまりいないタイプなので、楽しみです。プロの硬いマウンドでも順応しそうな投球フォーム。コントロールがまとまれば、なかなか打てない」(
日本ハム・
山田正雄スカウト顧問)
「いつもは8割の(力での)投球ですが、今日は全力で投げていました。ストレートがばらけるかな? と思いましたが、ある程度の制球ができていた。まだ、体が細いですし、体幹を鍛えていけばもっと、スピードは上がる」(
ロッテ・
榎康弘スカウト部長)
「左投手特有の対右打者のインコースを突くクロスファイヤー、その角度が良いんです。左打者も(外角に対して)腰が引けていた」(
ヤクルト・橿渕聡スカウトグループデスク)
指導してきた白鴎大・
藤倉多祐監督(元
阪神、ロッテ)は、元プロ目線でこう見る。
「ゆったりとしたフォームからガッ! とボールがくる。独特な腕の位置のスリークォーターで、タイミングが取りづらいと思います。対右打者には入ってくるボール(カーブ、スライダー)だけ、対左打者は逃げるボール(カーブ、スライダー、カットボール)だけで勝負させてきた。大きく伸ばす意味でも、大学の段階ではあえて、チェンジアップは使わせませんでした。今後、覚えれば、投球の幅が広がり、素晴らしい投手になるでしょう」
曽谷の魅力は、マウンド上だけではない。
藤倉監督は「ハートが良い。人間性が素晴らしい」と太鼓判を押す。獲得球団は「戦力」としてはもちろんのこと、チームの空気を変える「人材」としても期待できそうだ。
文=岡本朋祐 写真=BBM