来季のV奪回へ戦力刷新
今季は30試合に登板して防御率2.30も一軍に定着できなかったデラロサ
5年ぶりのBクラスに低迷した
巨人は今オフに戦力を刷新し、来季のV奪回を目指している。
広島から
長野久義が無償トレードで電撃復帰したことは、巨人ファンにとって朗報だろう。新人の2010年に新人王、11年に首位打者、12年に最多安打とタイトルを獲得。
坂本勇人と共にチームの中心選手として活躍してきたが、18年オフに
丸佳浩のFA移籍による人的補償で広島に移籍した。5年ぶりの古巣復帰で、気持ち新たに再スタートを切る。「慣れ親しんだユニフォームですけど、また新しい気持ちでルーキーのように頑張りたい」と今月15日に行われた入団会見で表情を引き締めていた。
さらに、
ソフトバンクの常勝軍団を支えた
松田宣浩の獲得を発表。「熱男」の愛称で知られる39歳のベテランはムードメーカーとして貴重な存在だが、ベンチ要員に甘んじるつもりはない。通算301本塁打をマークした長打力は大きな魅力で、ゴールデン・グラブ賞を8度獲得した三塁の守備も健在。三塁は
岡本和真、一塁は
中田翔が主軸として期待されるが、松田の存在は良い刺激になるだろう。
山口、井納も戦力外に
来日1年目の今季、24本塁打を放ったポランコ
来る者がいれば、去る者がいる。19年に最多勝を獲得した
山口俊、
DeNAから20年オフにFA移籍も2年間で通算1勝に終わった
井納翔一が戦力構想から外れる形で退団。勝負強い打撃でチームに貢献した
ゼラス・ウィーラーも自由契約となった。
そして、この助っ人たちも退団濃厚となった。
ルビー・デラロサとグレゴリー・ポランコだ。デラロサは今季30試合登板で0勝0敗1セーブ11ホールド、防御率2.30。勝利の方程式を担うピースとして期待されたが、春先に不調でファーム降格。その後も不安定な投球が続き、一軍に定着できなかった。
ポランコはメジャー通算96本塁打、98盗塁の実績を引っさげて入団したが、打率.240、24本塁打、58打点。神宮球場でリーグ連覇を飾った
ヤクルト相手に打率.357、7本塁打、15打点と抜群の相性を誇ったが、好不調の波が激しく、シーズン後半はスタメンを外れることも。デラロサは推定年俸1億8150万円、ポランコは推定年俸2億5000万円と高額だったことから、契約延長のネックになったかもしれない。
NPBで市場価値の高い両者
他球団のスコアラーはこう指摘する。
「デラロサは1年目が一番良かった。体重を増やしたことでスライダーの制球が失われ、制球も不安定になった。それでも要所を締めるのはさすがでしたけどね。体を絞ってコンディションを整えればまだまだできる。救援だけでなく、先発で投げさせても面白い。ポランコは確実性を欠いたが、日本野球に順応できれば爆発する可能性がある。もう少し見てみたいなという思いはあります。大幅減俸は避けられないと思いますが、デラロサ、ポランコの獲得に興味を示す球団はあると思います」
デラロサは外国人選手たちのまとめ役として知られ、温厚な性格で日本人選手たちとも信頼関係を築いていた。ポランコも真面目な性格で異国の地で成功したいという思いが、伝わってくる選手だった。日本で実績十分のリリーバー、長距離砲はNPBで市場価値が高い。両外国人は来季も日本の他球団でプレーする姿が見られるだろうか。
写真=BBM