新庄監督も大きな期待
11月24日に日本ハム入団会見を行った伏見[右。左は新庄監督]
オリックスを日本一に導いた頭脳が、日本ハムに加入する。
FA権を行使して移籍が決まった
伏見寅威。入団会見が11月24日に札幌市内で行われ、「FA宣言してから、すぐにファイターズの方が連絡してきていただいて。そのときにいろいろな話をさせてもらって、すごく熱意を感じましたし、必要とされている思いが伝わったので入団を決意しました」と語った。
会見に同席した
新庄剛志監督は、「FA解禁になってすぐにフロントに伏見選手を獲ってほしい、と。一番印象に残っているのはバファローズ戦で1試合に4つ(盗塁を)刺されたこと。マジかと。このキャッチャーすげぇなって。ウチに欲しいなという思いで見ていた」と熱い思いを語り、「左投手に対してのリード面がすごく面白い。今年の日本シリーズでも見ていて思った。開幕投手の加藤(
加藤貴之)君と組んで、面白いリードをしてもらえたらうれしい」と開幕戦で先発マスクを示唆した。
新庄監督が言及したように、強肩と巧みなリードで投手陣を引っ張る伏見の評価は、球界内で高い。今季はオリックスでチームトップの66試合で先発マスクをかぶり、26年ぶりの日本一に貢献。特に左腕のリードは際立つものがあり、今季2年連続2ケタ勝利となる11勝をマークした
宮城大弥は伏見とバッテリーを組んだ際に10勝4敗、防御率2.68をマーク。
山崎福也は3勝4敗と勝ち星は伸びなかったが、防御率2.49は捕手別で伏見が断トツに良い数字だ。
パ・リーグを取材するスポーツ紙記者は「
森友哉が
西武からオリックスにFAしてきたが、リードのうまさで言えば伏見の方が上だと思う。日本ハムにとって間違いなく大きな戦力補強になる」と力説する。
日本ハムの左腕は、新庄監督が早くも来季の開幕投手を明言した加藤のほか、
上原健太、
河野竜生ら潜在能力を発揮しきれていない「ドラ1」たちがいる。エース格として投手陣を引っ張る
上沢直之、
伊藤大海の両右腕を含め、伏見が投手陣の持ち味をどう引き出すか。
ベンチで声を張り上げてナインを鼓舞するリーダーシップも、大きな魅力だ。新庄監督は「噂によるとめちゃくちゃ元気があって後輩を育てる才能がものすごくあると聞いている。ファイターズは若い選手が多いので、1年目だけど引っ張ってほしいなと思います」と期待を込める。
日本ハムとの不思議な縁
日本ハムとは不思議な縁で結ばれている。北海道千歳市出身で、中学校のときはファイターズジュニアに所属。高校は東海大四高に進学している。新庄監督も子どものころからあこがれの存在だった。「新庄監督がセンターを守って、センターの後ろの観客席に新庄シートがあったんですが、そこに座らせてもらって、帰りにシートを持って帰って自分の部屋に飾りました」と振り返る。故郷の北海道でプレーすることに、「ワクワクしています。捕手として出る以上はファンの皆さんに勝ちゲームを見てもらいたいなと思っている。リーグ優勝、日本一目指してファンの方々も共に戦ってほしいなと思います」と呼びかけた。
伏見の加入は、他の捕手陣の良い刺激になるだろう。今季自己最多の81試合出場で打率.256、5本塁打、24打点をマークした
宇佐見真吾も正捕手を譲るつもりはない。高いレベルのレギュラー争いがチーム力の底上げにつながる。今季は9年ぶりの最下位に沈むなど近年低迷が続いている日本ハム。バッテリーを強化して生まれ変われるか。
写真=BBM