監督の交代は、チーム編成も変わることを意味する。
阪神は
矢野燿大監督が退任し、今季から
岡田彰布監督が就任した。
大山悠輔、
佐藤輝明ら主力がチームの中心になることは変わらないが、出場機会を失っていた選手たちは指揮官交代が大きな転機になる。
高山俊、
木浪聖也、
秋山拓巳……かつて主力として活躍していた選手たちは、もう一度輝きを取り戻せるか。
打撃を磨いて外野の一角を

阪神・高山俊
・高山俊
今季成績38試合出場、打率.189、0本塁打、0打点、2盗塁
通算成績467試合出場、打率.250、20本塁打、135打点、23盗塁
巧みなバットコントロールで天才と称された高山の影が薄くなっている。昨年は春季キャンプで2年連続MVPに輝いたが、一軍出場なし。今季も7月以降はファーム暮らしで一軍復帰は叶わなかった。明大で東京六大学最多の通算131安打をマーク。ドラフト1位で入団すると、16年に134試合出場で打率.275、8本塁打、65打点で新人王に。シーズン136安打、猛打賞13回と球団新記録を塗り替えた。新人王の投票では2位の
今永昇太(
DeNA)の32票に大差をつける220票でタイトルを獲得した。外野は中堅・
近本光司を除く2枠のレギュラーが固まっていない。高山は守備力、走力に秀でているわけではないため、レギュラー奪取に向けて打撃でアピールするしかない。課題に挙げられている選球眼に磨きをかけ、出塁率が上がればおのずと出番も増えるだろう。
遊撃レギュラーのチャンス到来

阪神・木浪聖也
・木浪聖也
今季成績41試合出場、打率.204、1本塁打、6打点、0盗塁
通算成績338試合出場、打率.247、9本塁打、78打点、4盗塁
二遊間の守備力を重視する岡田野球で、チャンスが巡ってきたのが木浪だ。プロ4年目の今季は自己最少の41試合出場にとどまったが、高知・安芸の秋季キャンプで遊撃に入り、「木浪の肩があんなにええとは思わなかった」と岡田監督をうならせた。新人の2019年に「一番・遊撃」で開幕スタメンを勝ち取り、113試合出場で打率.262、4本塁打、32打点をマーク。身体能力の高さを生かした守備能力に定評があったが、近年は
中野拓夢にレギュラーを奪われる形となり出場機会が減少していた。中野に二塁へのコンバート案が浮上してきたことで、遊撃で定位置再奪取のチャンスが出てきた。内野のユーテリティープレーヤーで終わるつもりはない。
小幡竜平との競争を制することができるか。
競争に挑む実績十分の右腕

阪神・秋山拓巳
・秋山拓巳
今季成績5試合登板、1勝3敗、防御率5.48
通算成績132試合登板、49勝43敗、防御率3.60
2020、21年と2年連続2ケタ勝利を挙げた右腕だが、今季は登板機会が激減。開幕時は先発ローテーション入りしたが、状態が上がらず5月12日に登録抹消されると、一軍の投手陣が安定していたこともありファーム暮らしに。ウエスタン・リーグで9勝3敗、防御率3.07で最多勝に輝いたが、当然納得できる成績ではない。先発陣は
青柳晃洋、
西勇輝、
伊藤将司の3本柱が当確で、
才木浩人、
西純矢、新外国人投手のほか、昨季セットアッパーで活躍した
岩貞祐太が先発に再転向する可能性がある。競争は激しいが、プロ14年目を迎える秋山にも意地がある。不安を抱えていた右膝のコンディションが良くなり、来季に期する思いは強い。実績十分の右腕だけに、復活を期待したい。
写真=BBM