安打を多く放って塁をにぎわしても得点できなければ勝てないのが野球。4月17日の
ロッテ対
日本ハム戦(ZOZOマリン)では、ロッテの
佐々木朗希が8回までパーフェクト。9回も
益田直也が3人で抑えひとりの走者も出さなかった。ところがロッテも5安打、5四死球ながら得点はゼロ。延長戦に入り10回、日本ハムの先頭打者・
万波中正がチーム初安打となる一発を放ち1点を先制。ロッテは10回裏も1安打1四球も無失点に終わり、たった1安打の日本ハムが勝利した。
このように効率が良かったのは日本ハムだが、2022年、塁に出した走者をどれだけホームに還したのか、割合(得点率)で比較してみた。計算方法は、得点÷塁に出た走者数(得点+盗塁死+牽制死+走塁死+併殺打数+残塁)。
村上の力が大きいヤクルト

やはり三冠王の村上が打線にいるヤクルトは得点率が高い
まずはセ・リーグから。
1位・ヤクルト
◎得点率34.9%(得点619=1位)
◎打率.250=3位
◎出塁率.318=1位
チーム打率は3位ながら出塁率はトップ。塁に出た走者は1774で、こちらもリーグトップ。得点圏打率.253は2位。56本塁打、134打点を挙げたチームの主砲・
村上宗隆に頼った部分も多いが、34.9%は12球団でもトップの成績。
2位・
巨人 ◎得点率32.7%(得点548=3位)
◎打率.242=6位
◎出塁率.3086=2位
岡本和真の30本塁打をはじめ20本塁打以上5人で、チーム本塁打163もヤクルトに次ぐ2位で、本塁打による得点依存が高い。
3位・
広島 ◎得点率32.2%(得点552=2位)
◎打率.257=1位
◎出塁率.3085=3位
打率はリーグトップで、得点圏打率もリーグではダントツの.288なのだが、
鈴木誠也が抜け本塁打が123から91に激減。また併殺打112は12球団トップの数字だった。
4位・
DeNA ◎得点率30.0%(得点497=4位)
◎打率.251=2位
◎出塁率.308=4位
打率はリーグ2位ながら得点能力という点では平均的。併殺打がリーグワースト2位、盗塁死がワースト1位の39とチャンスをつぶしている。
5位・
阪神 ◎得点率29.6%(得点489=5位)
◎打率.243=5位
◎出塁率.30073=6位
毎年の課題ではある攻撃力。本塁打84本はリーグ5位、得点圏打率も5位の.241と、なかなか走者を還すことができていない。
6位・
中日 ◎得点率25.4%(得点414=6位)
◎打率.247=4位
◎出塁率.30077=5位
打率、出塁率は下位ではあるが、得点、得点率ともに5位に大きく引き離された最下位。残塁はリーグ唯一の4ケタ1040。本塁打はヤクルト・村上+6本の62本と圧倒的に少ないが、リーグトップの三塁打27、3位の二塁打208と長打がないわけではない。走塁死はリーグトップの53で走塁なども課題だ。
得点圏打率1位のソフトバンク
パ・リーグはペナントレース同様あまり差がない結果だった。
1位・ソフトバンク
◎得点率31.3%(得点555=1位)
◎打率.255=1位
◎出塁率.320=2位
規定打席到達者が2人しかいない中、得点圏打率.266はリーグトップで、走者を還すバッティングはチーム全体に浸透している印象。リーグ最多の30打点以上8人、ある意味どこからでも得点できるチームでもある。
2位・ロッテ
◎得点率30.3%(得点501=3位)
◎打率.231=5位
◎出塁率.303=4位
実績のある外国人選手
レアード、
マーティンがあまり機能しなかった割には得点の効率は良かった。盗塁王を獲得した
高部瑛斗の44盗塁をはじめ、リーグ唯一の3ケタ132盗塁が得点能力を上げた。
3位・日本ハム
◎得点率30.1%(得点463=6位)
◎打率.234=4位
◎出塁率.292=6位
出塁率、出塁数ともに12球団最低だったが、一、三塁からダブルスチールを仕掛けるなど「奇策」でも得点力をカバーしていた。
4位・
西武 ◎得点率29.5%(得点464=5位)
◎打率.229=6位
◎出塁率.298=5位
強力打線から貧打のチームになってしまった感はあるが、41本で本塁打王を奪還した
山川穂高の存在は大きかった。ただし得点率は30%には届かなかった。
5位・
楽天 ◎得点率29.3%(得点533=3位)
◎打率.243=4位
◎出塁率.325=1位
出塁率はリーグトップながら、残塁はワーストの1075。塁はにぎわすものの得点にはならないケースが多かった。打点86の
浅村栄斗、77の
島内宏明の三、四番に頼らざるを得なかったのが現状。ソフトバンクとは対照的と言える。
6位・
オリックス ◎得点率28.0%(得点490=4位)
◎打率.246=2位
◎出塁率.317=3位
優勝したオリックスだが、打率、出塁率はともにAクラスだったが得点率は最下位。こちらも塁は埋めるが得点ならずというパターンで残塁は楽天に次ぐワースト2位の1060。一昨年の本塁打王・
杉本裕太郎が15本塁打、
吉田正尚もケガなどの欠場が多かったことも要因だ。
文=永山智浩 写真=BBM