リーグ最低の得点能力

昨季は自身最少の本塁打数に終わったビシエド
昨季6年ぶりの最下位に沈んだ
中日は、打線が一新する。レギュラーが確約されているのは中堅・
岡林勇希のみ。残りの7枠は競争だ。
中日を取材するスポーツ紙記者は、こう語る。
「二塁はレギュラーだった
阿部寿樹が
楽天にトレード移籍したことで、横一線の競争になる。
溝脇隼人、
石垣雅海、ドラフト2位・
村松開人(明大)、6位・
田中幹也(亜大)、7位・
福永裕基(日本新薬)、彼らにとってはチャンスです。他のポジションも主力は結果を残さなければ、開幕一軍メンバーのふるいから落とされる。長年主軸を務めているダヤン・ビシエドもレギュラーは確約されていない。新外国人野手3人が加入したことで競争になります」
昨季のチーム総得点はリーグワーストの414。昨年に限らず、中日の長年の低迷は深刻な貧打が大きな要因だ。四番を務めたビシエドは打率.294、14本塁打、63打点と主軸としては物足りない。来日7年目で自身最少の本塁打数に終わり、20併殺はリーグ最多。好不調の波が激しく、8月は25試合出場で打率.241、0本塁打、4打点と得点圏でブレーキになったのも痛かった。
3人の新外国人野手
チームが生まれ変わるためには、得点力を上げなければいけない。外国人補強に球団フロントの本気度が垣間見えた。ソイロ・アルモンテが3年ぶりに中日に復帰。18年に打率.321、15本塁打、77打点、リーグトップの37二塁打を記録するなどミート能力が高い。スイッチヒッターで日本での実績があることから、クリーンアップで計算できる。
さらに、メジャー通算41本塁打の
アリスティデス・アキーノを獲得。身長195センチ、108キロの巨体でオープンスタンスから広角に本塁打を放つ。規格外の飛距離を誇る長距離砲は、四番の最有力候補だろう。また、メジャー屈指の強肩を誇ることから外野の守備も期待値が高い。本拠地が広いバンテリンドームにマッチした選手と言える。
オルランド・カリステは内外野守れるのが強みで、昨季メキシカンリーグでは83試合出場、打率.344、13本塁打、54打点をマーク。内野の全ポジションでレギュラーが固まっていないため、万能型のカリステの加入は心強い。
外国人枠は出場選手登録が5人、ベンチ入りは4人となっている。勝利の方程式を担うセットアッパーの
ジャリエル・ロドリゲス、守護神の
ライデル・マルティネスは外せない。野手4人で残りの2枠を争う公算が高い。
ビシエドが五、六番なら
他球団のスコアラーは「新加入した3人の実力が未知数なので現時点では判断が難しいですが、ビシエドがスタメンに並ぶほうが怖いですよ。もともと長距離砲ではなく、弾丸ライナーの打球が多いですが、昨年は四番で長打を狙うあまり、打撃のバランスを崩しているように見えた。首位打者を獲得した経験がありますし、五、六番あたりに置いて本来の力を発揮させれば打率3割を軽く超えると思います」と評する。
ビシエドは一塁の守備でも貢献度が高い。来日当初は決して上手な部類ではなかったが、コツコツと努力を積み重ねて上達。難しいショートバウンドを捕球するなどハンドリング技術に長け、20、21年と2年連続ゴールデン・グラブ賞を獲得している。親日家でも知られ、中日ファンに愛されている。来日8年目の今季は競争を勝ち抜き、輝きを放てるか。
写真=BBM