今季5号は通算18本塁打

慶大・廣瀬は早大3回戦で先制ソロ本塁打。背番号10を着ける主将の一発で慶大は1対0で勝利し、勝ち点を挙げた
慶大の主将・
廣瀬隆太(4年・慶應義塾高)は早大3回戦(5月30日)で4回表に左越えにソロアーチ。慶大はこの先制点を守り、1対0で勝利し、勝ち点3を挙げ、3位で全日程を終了した。
今季5号は通算18本塁打。歴代7位タイとなり、トップの慶大・
高橋由伸(1994~97年在籍、元
巨人)の23本が視界に入ってきた。
シーズンを通しては、打率.192と苦しんだ。慶大・堀井哲也監督は「徹底マークの中、どれだけ我慢するか。その1球を仕留めた」と評価した一方で、廣瀬は「警戒? そんなに感じていません。投げづらそうにはしているかな? とは思いましたが……。何せ1割台ですので、徹底マークされるほどではない」と苦笑いを浮かべた。右の強打者は、自身の打席を冷静に自己分析している。
「自分の形を探っていく中で、思考錯誤。5本塁打を打てたのは、僕にとっては上出来」。23本塁打については「数字は特に意識しない。簡単にはいかない。レベルアップして秋のリーグ戦に臨みたい」と淡々と語った。
記録にはあまり興味を示さない。それは、なぜか。「主将よりも4年生として、引っ張っていかないといけないと思っていた。責任を感じていた」。何よりもキャプテンとして、リーグ優勝へ導けなかったことが悔しいという。
学生ラストシーズンとなる今秋に向けて「タイミングが合わなくて、自分のポイントで打つことができなかったのが、打率が低かった要因。自分の形を染みこませていきたい」と、背番号10のチームリーダーは課題を語った。

歴代7位タイの18号。早慶戦は自身2本目で、三塁応援席は盛り上がりを見せた
この日で、早慶戦での本塁打は2年秋の1回戦以来、通算2本目。廣瀬は慶應義塾幼稚舎からの生粋のKEIOボーイであり「小さいころからの夢。そこで打てたのはうれしい」と語るのも、説得力がある。
1年秋から昨秋までに「2、1、3、4、3」と積み上げ、今春は自己最多5本塁打を放った。周囲はどうしても、記録到達を期待するだろう。今秋の早慶戦は26年ぶりの「23本塁打」をかけた大一番となるかもしれない。
文=岡本朋祐 写真=矢野寿明