「シンプルに向かっていく」
交流戦に苦手意識はないと語る岡田監督
貯金17と首位を快走する
阪神。交流戦1カード目の
西武3連戦は1勝2敗と負け越したが、3日の
ロッテ戦(甲子園)は延長戦の末に
小幡竜平の中前適時打でサヨナラ勝ちを飾った。
今年から就任した
岡田彰布監督は交流戦について、5月中旬に週刊ベースボールのコラムで以下のように綴っている。
「今シーズンはパ・リーグのチームと各3試合、計18試合を戦うわけだが、ここは順位に直結する重要な戦いになる。結果によっては独り勝ちもあれば、独り負けもある。18試合といっても、軽視できないわけ。2005年から導入されたこの交流戦。実はオレは得意にしているのです。順位的に言えば05年以降、3位、3位、10位、2位で阪神での交流戦通算は66勝51敗3分けで、2010年の
オリックス監督時は16勝8敗で優勝。まったく苦手意識はない。これまで合計7年、交流戦を戦ったわけだが、交流戦100勝一番乗りはオレなんです。プチ自慢になるけど、交流戦は自信を持って、戦うことができる。まあ、年々、プロ球界も情報戦、分析力勝負となり、事前にスコアラーが細かいデータを収集。それを分析して試合に臨むのだが、もちろんデータは重要です」
「中には初めて対戦する投手、バッターがいるわけで、そこは集められたデータを参考にしなければならない。ただね、オレはデータを基にしながら、『シンプル』に戦うことが大事だと思っている。まずマウンドに立ち、打席に立ち、そこで感じるもの。感性というのか、それを大事にすることが必要で、考え方は難しくすることなく、シンプルに向かっていけばいい。それが長い間、交流戦を戦ってきた経験から得た答えである。以前から言っているように、ウチは経験を積んで強くなっていくチームやと思っている。まだシーズンが始まって5分の1が過ぎたところ。今後、いろんなことがあると思うけど、5月より6月、6月より7月と着実に力をつけていくはず。それを強く信じているし、皆さんに大きな楽しみを届けることができると考えている」
岡田監督の柔軟な選手起用
快進撃で選手たちが輝きを放つ要因に、名将の柔軟な起用法がある。昨オフに監督就任し、
中野拓夢を遊撃から二塁にコンバート。遊撃のレギュラー候補として小幡竜平を挙げていたが、シーズンに入って
木浪聖也が春先から結果を残すと実力至上主義で「八番・遊撃」に固定した。木浪は強肩に定評がある遊撃の守備と、打率.297とシュアな打撃でチャンスメーク。攻守で不可欠な存在になりつつある。
併用する方針にシフト
捕手は梅野[写真]、坂本を併用している
捕手も当初は
梅野隆太郎をレギュラーで固定する方針を示していたが、
坂本誠志郎が
大竹耕太郎、
村上頌樹、
伊藤将司とのバッテリーで好リードを見せると、梅野とスタメンで併用する方針にシフト。梅野は打率1割台と打撃で試行錯誤しているが、
西勇輝、
才木浩人、
青柳晃洋が先発登板する試合はマスクをかぶる。5月26日の
巨人戦(甲子園)では、バッテリーを組んだ今季初先発の
桐敷拓馬が7回1失点の好投。強気のリードで桐敷の持ち味を引き出し、プロ初白星をアシストした。
スポーツ紙デスクは、梅野と坂本を併用する岡田監督の采配を評価する。
「坂本がスタメンマスクをかぶったときに勝率が高いと常時起用したくなりますが、投手との相性を考えてきっちり使い分けている。長いペナントレースを見据えて、梅野の力が必要だというメッセージも込められていると思います。梅野と坂本は配球の組み立てが違うので、対戦する方は神経を使うと思います。強いチームには有能なキャッチャーが2人いるのが現代野球のトレンドです。梅野と坂本は捕手としてのタイプが違うが能力は高い。最強のコンビではないでしょうか」
強固な投手陣を支える縁の下の力持ちとして、2人の存在は心強い。
写真=BBM