全球団から3安打以上をマーク

交流戦の首位打者に輝いた近藤。シュアな打撃を発揮した
今年の交流戦は
DeNAが11勝7敗で初優勝を果たしたが、同じ11勝7敗のチームが、
ソフトバンク、
巨人、
オリックスと4チームと大激戦で、得失点率差でDeNAの優勝後が決まった。9試合消化した折り返しの6月8日時点(
ヤクルトと
楽天は8試合)でも、5勝4敗が6チームでトップ、最下位は
ロッテと楽天の借金2。1.5ゲーム差の中に12球団がひしめき合っていた。
個人でも交流戦をきっかけに調子を上げた選手もいる。特に打者は18試合の中でガラリと変わる選手もいる。
打率1位になったソフトバンク・
近藤健介は一気に打率を上げた。
交流戦前 158打数37安打 打率.234(リーグ19位)
交流戦 63打数26安打 打率.413(交流戦1位)
交流戦終 221打数63安打 打率.285(リーグ3位)
FA移籍で入団した近藤だがWBC疲れもあったのか、4月下旬から打率が降下。交流戦前は打率.234(5月21日の.232が最低)と近藤らしくない成績に終わっていた。それが交流戦に入ると「らしさ」が戻ってきた。対戦順の打撃成績は次のとおり(☆はホームゲーム)。
中 12打数6安打☆
広 12打数4安打
デ 10打数4安打☆
巨 10打数4安打☆
ヤ 9打数5安打
神 10打数3安打
全球団から3安打以上をマークし、特にPayPayドームでは32打数14安打で打率.438を記録(ビジターは.387)。チームは交流戦優勝を逃したがチームを牽引した。
牧、浅村も上昇

チームを勢いづける打撃で交流戦Vに貢献した牧
その他、交流戦前まで低打率だったものの、交流戦で打率を大きく上げたのは以下のとおり(規定打席以上)。
◎
牧秀悟(DeNA)
交流戦前 169打数44安打 打率.260(リーグ22位)
交流戦 71打数27安打 打率.380(交流戦3位)
交流戦終 240打数71安打 打率.296(リーグ8位)
◎
浅村栄斗(楽天)
交流戦前 158打数34安打 打率.215(リーグ22位)
交流戦 63打数21安打 打率.333(交流戦10位)
交流戦終 221打数55安打 打率.249(リーグ13位)
牧は交流戦前は9本塁打、30打点と2部門でトップの成績。それでも打率.260と物足りなかったが、交流戦では.380と打ちまくった。特に楽天戦は14打数8安打、打率.571をマーク。13打点を挙げセ・リーグの打点トップをキープしている。
浅村は開幕から不調で5月上旬までは打率1割台ということもありチームも低迷。交流戦に入りようやく浅村らしいバッティングが見られた。その活躍もありチームは交流戦を5割で終えた。
軒並み主力が打率を落とした阪神

交流戦では波に乗り切れなかった阪神の一番を務める近本
一方、大きく打率を落としたのは阪神勢だ。
現在規定打席到達者は6人いるが成績は次のとおり。
◎
近本光司 交流戦前 182打数58安打 打率.319(リーグ6位)
交流戦 74打数16安打 打率.216(交流戦41位)
交流戦終 256打数74安打 打率.289(リーグ9位)
◎
大山悠輔 交流戦前 165打数50安打 打率.303(リーグ9位)
交流戦 61打数15安打 打率.246(交流戦32位)
交流戦終 226打数65安打 打率.288(リーグ10位)
◎
中野拓夢 交流戦前 176打数55安打 打率.313(リーグ7位)
交流戦 72打数16安打 打率.222(交流戦43位)
交流戦終 248打数71安打 打率.286(リーグ13位)
◎
木浪聖也 交流戦前 129打数40安打 打率.310(リーグ8位)
交流戦 53打数11安打 打率.208(交流戦52位)
交流戦終 182打数51安打 打率.280(リーグ16位)
◎
ノイジー 交流戦前 184打数49安打 打率.266(リーグ20位)
交流戦 57打数 8安打 打率.140(交流戦60位)
交流戦終 241打数57安打 打率.237(リーグ25位)
◎
佐藤輝明 交流戦前 163打数41安打 打率.252(リーグ24位)
交流戦 60打数11安打 打率.183(交流戦57位)
交流戦終 223打数52安打 打率.233(リーグ27位)
交流戦前は2位のDeNAに6ゲーム差をつけ、独走態勢を作りつつあった。一番・近本、二番・中野がともに3割をマークし得点源になっていた。それが交流戦に入ると近本.216、中野.222と急ブレーキがかかり、他の主力も軒並み打率を落としている。交流戦のチーム打率.210は12球団最低(1位は巨人.274、11位は
西武.212)。交流戦は7勝10敗1分けと3つ負け越し、優勝したDeNAには2.5ゲーム差まで迫られている。
23日からリーグ戦が再開するが、この流れを断ち切れるか注目される。
文=永山智浩 写真=BBM