3年連続で都市対抗出場

上位進出を誓う日本製鉄かずさマジック・渡辺監督[写真=矢野寿明]
第94回都市対抗野球大会は7月14日から25日まで東京ドームで熱戦が展開される。開幕まで注目チーム、選手を紹介していく。
2020年から日本製鉄かずさマジック(君津市)を指揮する
渡辺俊介監督(国学院大)は現役時代に「世界一低い」と言われたリリースからのアンダースローで脚光を浴びた。
ロッテなどで活躍し、06年と09年に開催されたWBCでは日本の連覇に貢献し「ミスターサブマリン」と呼ばれた。
古巣である社会人の監督に就任して4年目を迎え、南関東二次予選を勝ち抜き、第2代表で3年連続での都市対抗出場を決めた。
「予選は一つ流れが変われば勝ちきれなかったかもしれないギリギリの戦いとなりましたが、一戦ごとに選手が成長していく姿が見て取れました。都市対抗という晴れやかな舞台で戦うことができ、選手も私自身も楽しみにしています」
Hondaとの第2代表決定戦では1点を追う6回裏に吉田開(富士大)の適時二塁打で同点。8回裏にはまたも吉田が勝ち越し打を放つと、投げては左腕・
渡邊力哉(桐蔭横浜大)から右腕・
山本晃希(九州国際大)へのリレーで反撃を封じて3対1で競り勝った。
渡辺監督は「流れが悪くなりそうなところで粘れました。今季のチームは若い選手が多いのですが、集中力が途切れず切り替えも早い。ミスをしてもズルズルといかず、その場面でやるべきことにチームとして向かっていけるのが特長です」と手応えを語っている。
「陰の立役者」として田中克マネジャー(近大)の名前を挙げ「(南関東二次予選の2戦目から)ジャンケンで4連勝してくれて後攻がとれました。そういうツキも勝つことには必要だと思っています」と話す。
こうした幸運を呼び込むためにも「野球の神様に味方になってもらえるような振る舞い。そして、日本一を目指すのにふさわしい生活をしようと選手にはずっと言ってきています」と、普段の行動から気を配っている。
「今までよりはよい準備ができるはず」
チームを率いる立場となり3回目の都市対抗出場となる渡辺監督は「最初は手探りで何も分かっていませんでしたし、初戦を戦う難しさを感じています。ただ、3回目の都市対抗ということもあり、補強選手や開幕までのオープン戦の戦い方など、今までよりは良い準備ができるのではないかと思います」と手応えを語る。
初戦を戦う東海理化(豊川市)は「コーチ時代に地方大会の決勝で当たったことがありますし、山川康樹ピッチングコーチが以前在籍していたチームでもあるので、縁があるのかなと感じています。厳しい東海地区予選を敗者復活から勝ち上がってきた粘り強いチームが相手ですが、常に自分たちらしい戦いをすることを心がけているので、そこは変えずに挑んでいきたい」と指揮官。そして、「目標には日本一を掲げていますが、現時点ではまだ実力が足りていません。ですから補強選手の力も借り、開幕までに優勝できるチームづくりをして大会へ臨みたいと思います」と抱負を語った。
世界一を知る渡辺監督が指導者として日本一を目指す都市対抗野球大会。日本製鉄かずさマジックの初戦は大会5日目(7月18日)の第2試合(14時)に組まれている。
文=大平明