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もっと評価されるべき? 最下位低迷の中日で他球団が一目置く「安打製造機」は

 

俊足を生かしたプレースタイル


レギュラー定着2年目の今季も成長を続けている岡林


 最下位に低迷している中日。深刻な貧打が苦戦の要因となっている。この状況でチャンスメーカーはなかなかスポットライトが当たりづらいが、「もっと評価されていい選手」と他球団の首脳陣、選手から評価が高いのが、中日のリードオフマン・岡林勇希だ。

 俊足を生かしたプレースタイルの印象が強い。実際に昨年の内野安打数22本はリーグ最多だったが、今季は打球に力強さが増している。5月12日のヤクルト戦(神宮)で高梨裕稔からプロ初アーチとなる右越2ランを放つなど、2本塁打をマーク。6月28日の阪神戦(甲子園)では同点の延長10回に左腕・島本浩也のフォークを右手一本ですいあげ、前進守備の右翼を越える決勝適時三塁打を放った。7月1日のDeNA戦(横浜)では、2回にトレバー・バウアーの154キロ直球を振り抜き、右中間に適時二塁打。試合は引き分けに終わったが、今季9度目の猛打賞で奮闘した。

 目下、79試合出場で打率.286、2本塁打、17打点、9盗塁。リーグ3位の91安打を積み上げている。塁に出るだけでなく、得点圏打率.362とチャンスに強い。相手のマークが厳しくなった中で昨年と遜色ない活躍を見せていることは大きな価値がある。近本光司(阪神)がリーグトップの12盗塁をマークしているが、肋骨骨折で戦線離脱している。盗塁王はシーズン終盤まで熾烈な争いが予想され、岡林にも十分にチャンスがある。

自身を俯瞰して分析できる能力


 立浪和義監督に素質を見出され、高卒3年目の昨年に外野のレギュラーをつかんだ。夏場に強い選手は一流に上り詰める資質を秘めている。7月に月間打率.375をマークするなど、同月から3カ月連続打率3割をマーク。チームは6年ぶりの最下位と悔しいシーズンになったが、岡林は飛躍のシーズンとなった。161安打を積み上げ、佐野恵太(DeNA)と並んでセ・リーグ最多安打のタイトルを獲得。20歳9カ月の史上最年少で外野手部門のベストナインに選出され、ゴールデン・グラブ賞も受賞した。プロに入団した3年前に投手から外野手に転向し、守備に不安を抱えていただけにその成長力には目を見張るばかりだ。24盗塁もリーグ2位タイ。リードオフマンとして底知れない可能性を秘めている。

 自身を俯瞰して分析できる能力が高い。今年1月に週刊ベースボールのインタビューで昨年の打撃について、「初めのうちは言われたことをやっているだけでしたが、そのうち自分で理解し始めたというか、何がいいのか悪いのかが分かってプレーできるようになってきました。最後のほうは特にそうでしたね。配球をよく考えるようになって、狙い球を絞れるようになって、自分の打てるボールだけを打ちにいけた。それが大きな要因だったと思います」と振り返っていた。

開幕前のアクシデントを乗り越えて


 大ブレークで取り巻く環境がガラッと変わった。1年前に比べてメディアの注目度が高まり、ファンの期待も大きいが、浮つくことなく地に足がついている。

 打撃の修正点を聞かれ、「もう少し再現性を高めたいです。まだまだバラバラな部分が多いですから」と明かした上で、相手バッテリーのマークが厳しくなることについて「自分のやるべきことをやるしかないのは変わらないですから。良くなろうと無理して何かを変える必要はなくて、自分の中でこれだというものをひたすら続けることが大事だと思っています」と語っていた。

 今年の開幕前はアクシデントに見舞われた。3月2日に行われた侍ジャパンとの合同練習(バンテリン)で、ダルビッシュ有(パドレス)が投じた150キロ直球が右膝を直撃。球団トレーナーの肩を借り、激痛に表情を歪めてベンチに下がる姿に球場が騒然となった。長期離脱が懸念されたが、診断結果は打撲の軽傷に首脳陣はホッと胸をなでおろした。3月31日の開幕・巨人戦(東京ドーム)から「一番・中堅」でスタメン出場。初回に中越え三塁打を放つなどマルチ安打で逆転勝利に貢献した。

 中日が巻き返すため、岡林の活躍が必要不可欠だ。大好きな夏場に入り、安打製造機は広角に安打を打ち続ける。

写真=BBM
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