「取れるアウトを取れなかった」

銚子商高は習志野高との千葉大会3回戦で敗退。一塁ベンチ前では、悔しそうに相手の勝利の校歌を聞いた
0対12。銚子商高は5回
コールドで習志野高との千葉大会3回戦(7月15日)で敗退した。
甲子園優勝経験校による好カード。柏の葉公園野球場には試合開始直後、入場制限するほどの大観衆が集まった。「応援してくれた方に、申し訳ない気持ちです」。正捕手の主将・加藤澄海(3年)は頭を下げると、涙をこらえることができなかった。
銚子商高は春8回、夏12回の甲子園出場を誇る伝統校で、1974年夏には全国制覇を遂げている。夏の甲子園は2005年を最後に遠ざかる。昨春は県大会準優勝で関東大会2回戦進出と、「古豪復活」への機運を高めていた。
Aシードで臨んだ昨夏の千葉大会は5回戦敗退。旧チームの悔しさを背負って戦った昨秋は県大会1回戦敗退、今春は県大会2回戦敗退と、ノーシードで今夏を迎えていた。目標は聞くまでもなく「甲子園」。長生高との初戦(2回戦)を、9対2の7回コールド勝利と、最高の形でAシード・習志野高との対戦を控えていた。「子どもたちは、習志野さんに勝つつもりで臨んだが、力不足でした。初回の12失点……。止められませんでした。取れるアウトを取れなかったのが原因。少し雰囲気にのまれていた」。同校OBの澤田洋一監督は、振り返った。

習志野高と銚子商高による伝統校対決は0対12。初回の攻防が、明暗を分けた
大敗の中にも、収穫はあった。澤田監督は「2回以降は落ち着いてプレーしていた(無失点)。今後につなげていきたい」と、前を向いた。点差ほどの実力差はない。1プレーで試合の流れが変わる怖さを、あらためて知った。
主将・加藤は後輩へのメッセージを求められると「一日も無駄にせず、練習をしてほしい」と語った。0対12という屈辱的なスコアにも試合後、銚子商高の一塁側応援席からは惜しみない拍手が送られた。「古豪復活」を願うファンのためにも、銚子商高はこの敗戦を糧にし、秋への準備をスタートする。
文=岡本朋祐 写真=BBM