一挙5点を奪って逆転したシーンで

ヤマハ野球部後援会応援部・リーダー長の平松武将さんは全力の応援を展開した[写真=BBM]
第94回都市対抗野球大会は東京ドームで熱戦が展開されている。7月25日の決勝まで、栄光の黒獅子旗をかけた戦いをリポートする。
都市対抗の「華」と言えば、試合を彩る応援団である。2020年にコロナウィルスの感染拡大によりさまざまな制限を受けてきた応援団だが、今大会からはコロナに関する規制が撤廃。観客の声出し応援もOKとなり、かつての大歓声がスタンドに戻ってきた。
大会5日目(7月18日)の第1試合に登場したヤマハ(浜松市)は5年連続44回目の出場し、日本製鉄鹿島(鹿嶋市)と対戦した。
5年連続ということは、新型コロナ禍前から現在までの推移を当事者として見守ってきたことになる。ヤマハ応援部に在籍して11年目、19年から男子リーダー長を務める平松武将(たける)さんはこの5年をこう振り返る。
「コロナ禍前は自分もまだ若かったので、体を動かすことで精いっぱいでした。それがコロナ禍によって、20年は応援なし。自宅のテレビで応援することしかできませんでした。21年と22年は東京ドームで応援をすることは許されたのですが声出しについては制限があり、とてもさみしかったですね」
今年は応援が全面的に解禁。試合前は「久しぶりに観客の皆さんの声を聞くことができるので本当に楽しみです」とほほ笑んだ。そして、ヤマハの応援の見せどころといえば、応援部の間で「エンドレス」と呼ばれているチャンステーマだ。
「試合中盤から後半のチャンスの場面でやるのですが『黄色いリボン』『草競馬』『サンバ・デ・ジャネイロ』の3曲をエンドレスで流し、ステージで踊り続けて観客の皆さんと一緒に盛り上がります」
日本製鉄鹿島との1回戦では、2点を追う5回裏、一挙に5点を奪って逆転したシーンで使用され、スタンドを沸騰させた。
「応援コンクール」も開催
今大会は5回終了後に時間が設けられ、各チームの応援団が趣向を凝らしたステージを見せる「応援コンクール」が開催されている。平松さんは「ヤマハの音楽教室のCMにも使われている『池の雨』という曲があって『ドレミファソ~ラシ、ミ、レ、ド~♪』というフレーズなんですけれど、その曲をバックにパフォーマンスをします。特に女子チームは今年が初披露の演目になるので注目していただきたいです」と話していたが、楽器を扱う会社だけあって「さすが、ヤマハ!!」と思わせる大音量の美しいメロディーに乗せ、フラッグを使ったダンスが披露されていた。
試合は応援の後押しもあって、ヤマハが7対3で勝利。3年ぶりの初戦突破を果たし「うれしいという言葉しかありません」と平松さん。試合を終え「観客の皆さんの大歓声を聞くことができて、本当に気持ち良かったです」と振り返った。野球部に対しては「この初戦の勢いを維持して、1試合ずつではありますけれど(優勝まで)あと4試合、勝ってもらいたいです。僕らも1試合でも多く、この東京ドームで応援がしたいです」とエールを送った。ヤマハの次戦は7月21日、JR東日本東北(仙台市)との2回戦となる。
取材・文=大平明