歌で全体を盛り上げるMC

Honda熊本の応援席ではMCの荒木さん[左]と吉岡さん[右]が盛り上げた[写真=BBM]
第94回都市対抗野球大会は東京ドームで熱戦が展開されている。7月25日の決勝まで、栄光の黒獅子旗をかけた戦いをリポートする。
第7日目(7月20日)から2回戦に突入。第2試合ではHonda熊本(大津町)が日本通運(さいたま市)と対戦。ベスト8をかけた熱い戦いに、応援席からは大声援が送られた。
三塁側に陣取ったHonda熊本応援部。Hondaの応援と言えば「Hondaパワーで打ちまくれ 今こそ全開、GO Honda♪」のフレーズで社会人野球ファンにお馴染みの『全開Honda』だろう。そして、この曲をはじめ、すべての応援歌で歌を担当しているがMCの荒木美波さんと吉岡真奈さんの2人だ。
MCという肩書きのとおり、観客の方々へさまざまな情報を伝えて進行役を果たすのが務めだが、ひとたび攻撃となればその美声を響かせて応援を盛り上げる。
「『全開Honda』は応援歌のなかでも一番好きだという選手も多い曲。初回の攻撃時、一番最初に流されるのもこの『全開Honda』なんです」(荒木さん)
都市対抗は特別な舞台だ。副チアリーダーも務める荒木さんは語る。
「東京ドームは入った瞬間に『うわっ!!』と感じるくらい、すごい場所。その東京ドームで歌う機会があるなんて、とても貴重なこと。ダンスは目を離したら見てもらえません。でも、歌はずっと聞こえているものなので、緊張するんですが、楽しいです」
吉岡さんも「MCは歌で全体を盛り上げる大切なポジションなので、とてもやりがいがあります」と話す。基本的には一人が歌って、もう一人は選手名などの合いの手を入れる。これを2人が役割を入れ替わりながら繰り返しており、試合終盤には大歓声やブラスバンドの音に負けないように2人一緒に歌うという。
応援歌は全部で10曲ほど。攻撃時はほとんど歌い続けているため「試合が終わる頃には、のどがかれています」と吉岡さん。そのためイニング間などの時間を利用して、のど薬を飲んでケアしているという。
「がまだせ! Honda熊本!」

1回戦では来場できなかったくまモンが、2回戦ではパフォーマンスを披露した[写真=BBM]
Honda熊本独自の応援と言えば、熊本が誇るキャラクター・くまモンが参加することだろう。リーダーらと同じようにステージに立ってパフォーマンスをすることもしばしば。そして、今大会は1回戦の5回終了後に「SHOW TIME」と称してスペシャル・パフォーマンスを行う時間が設けられ、Honda熊本は「くまモンダンス」を披露したが、当のくまモンが来場できず。そこで、なんとしても出たかったというくまモンが、この2回戦でダンスを披露する場面も見られた。
「がまだせ! Honda熊本!」と熊本の方言で「がんばれ」とエールを送っていた2人だったが、Honda熊本は追い上げも実らず3対6で敗戦。それでも「1年目は踊っていたので、2年目にMCをやってどちらも経験することができて良かったです」と荒木さん。吉岡さんも「得点が入った時の盛り上がりなど、全部このことが楽しかったです」と振り返った。荒木さんも吉岡さんも応援部2年目。Honda熊本応援部は2年で現場を退き、後進を指導する側に回るため、東京ドームで応援するのはこれで最後となりそうだ。「今年で終わるのはさみしいです」と声をそろえた2人。しかし、野球部とともに流した汗と涙はこの夏の最大の思い出となったことだろう。
取材・文=大平明