新天地での活躍を誓う外野手

交換トレードで西武から中日に移籍した川越
チーム再建に向け、中日が積極的な「血の入れ替え」を敢行している。
高松渡との交換トレードで
川越誠司を獲得したことを今月18日に発表。川越は20日に入団会見を行い、「自分はバッティングが持ち味だと思うのでそこを発揮したい。ドラゴンズとは今年交流戦で対戦し、守っていて打たれそうというかオーラがあって強いチームだなと感じました。立浪監督も現役時代にテレビで拝見していたので、すごく偉大な方だというイメージです。使って頂ける所であればどこでも頑張ろうと思っているので、自分の力を発揮できたらと思います」と新天地での活躍を誓った。
昨年から立浪監督が就任し、成立したトレードは今回が6件目。昨年7月に
石岡諒太とのトレードで
オリックスから
後藤駿太を獲得すると、6年ぶりの最下位に沈んだ同年オフには
阿部寿樹を
楽天、
京田陽太を
DeNAに放出して
涌井秀章、
砂田毅樹が加わった。阿部は昨年133試合出場で打率.270、9本塁打と中軸で活躍していただけに、正二塁手の電撃トレードは大きな反響を呼んだ。今年1月には手薄な捕手陣の補強に動き、
加藤匠馬が
ロッテから復帰。シーズンに入り、正捕手の
木下拓哉が右手甲骨折で6月15日に登録抹消されると、4日後の19日に
郡司裕也、
山本拓実を交換要員に
日本ハムから
宇佐見真吾、斎藤綱記を獲得するトレードが発表された。
現役ドラフトで加入の細川が大ブレーク
環境が変わることは、野球人生の大きな転機になる。涌井は3勝10敗、防御率3.96と大きく負け越しているが打線の援護に恵まれない試合があることを考慮しなければいけない。開幕から先発ローテーションで稼働していることは評価すべきだろう。宇佐見は移籍後18試合出場で打率.413、1本塁打、5打点をマーク。得点圏打率.583と驚異的な数字で、7月13日の
ヤクルト戦(神宮)以降は五番に座っている。左のセットアッパーとして期待される斎藤も4試合連続無失点で2ホールドと好投を続けている。
トレード移籍ではないが、新天地で覚醒した代表例が
細川成也だ。昨オフに現役ドラフトでDeNAから移籍。和製大砲として潜在能力は高く評価されていたが、DeNAでは一軍に定着できなかった。中日でも外野の定位置が確約されていたわけではなく、開幕戦は出場機会がなかったが、4月以降はクリーンアップに定着して81試合出場で打率.285、12本塁打、49打点と自己最高の成績をマーク。球宴にも初出場を果たすなど大きくステップアップしている。
二軍では好成績をマーク
川越も「第2の細川」になる可能性を秘めている。投手として入団したが、打撃センスを買われて19年に野手転向。当時の
松井稼頭央二軍監督(現一軍監督)の期待は大きく、イースタン開幕戦から四番に抜擢された。左の強打者としてそのパンチ力は大きな魅力だ。今年は12試合の出場にとどまり、打率.133、1本塁打、5打点。6月19日に登録抹消されてファーム暮らしだったが、イースタンでは打率.292、7本塁打、25打点の好成績をマークしていた。
スポーツ紙デスクは、「中日は最下位と低迷しているが積極的なトレード補強は、チームを本気で強くしたいというフロント、現場の熱い思いを感じる。長年低迷期が続いている中でチームの体質を変えるためにも、トレード補強は効果的です。川越の加入で外野手の定位置争いが激しくなる。後半戦の戦いぶりが楽しみですね」と期待を込める。
前半戦を終えて244得点はリーグワースト。得点力不足が低迷の要因となっている。川越は自慢の長打力でチームを救う働きを見せられるか。
写真=BBM