2年ぶりの打撃不振で登録抹消

打撃の調子を取り戻して再び一軍舞台で活躍したい丸
前半戦を終えて借金2の4位で折り返した
巨人。後半戦初戦に勝利し、首位・
阪神と5.5ゲーム差。逆転優勝はまだまだ可能だ。だが、本来なら打線の中軸で活躍してもらわなければいけない強打者がファームで汗を流している。7月18日に登録抹消された
丸佳浩だ。
中堅を守っていたが守備の負担を減らすため、今年から右翼にコンバート。打撃でさらなる活躍が期待されたが、春先につまずいた。3、4月は月間打率.180、1本塁打、4打点。17打席連続無安打と快音が聞かれず、試行錯誤が続いた。5月以降は安打を量産して約3週間で打率.261に上昇し、本来の状態を取り戻したかに見えたが、好調の時期が長く続かない。今月17日の
ヤクルト戦(神宮)は「七番・中堅」でスタメン出場したが2打数無安打で途中交代し、翌18日にファーム降格に。打撃不振での登録抹消は21年6月以来約2年ぶりだった。77試合出場で打率.235、11本塁打、25打点。得点圏打率.182と勝負強さも鳴りを潜めている。
勝負の夏場に必要になる経験値
丸はセ・リーグの勢力図を変えるほどの影響力を持っていた。
広島時代に主軸として活躍し、2016~18年のリーグ3連覇に大きく貢献。18年オフに巨人にFA移籍すると、19、20年に2年連続全試合出場でリーグ連覇の立役者となり、「1人リーグ5連覇」を果たした。スランプの時期があるが、シーズンのトータルで見ると毎年コンスタントに高水準の成績をきっちり残す。高度な打撃技術だけでなく、大きな故障もない。首脳陣にとってこれほど頼もしい選手はいないだろう。昨季はチームで唯一143試合出場して打率.272、27本塁打、65打点をマーク。他球団のスコアラーはこう分析する。
「打つだけでなく出塁率が高い選手なので厄介です。途中出場よりスタメンで力を発揮するタイプ。ファームに降格しましたが、丸の経験値は勝負の夏場に必要になる。打撃を修正して一軍に早期復帰すると思います」
今季は高卒3年目の
秋広優人がブレーク。長打力だけでなく確実性の高い打撃でレギュラーをつかみ、66試合出場で打率.298、9本塁打、27打点をマークしている。
アダム・ウォーカー、
梶谷隆幸、
長野久義と実績ある選手だけでなく、
浅野翔吾、
萩尾匡也、
岡田悠希ら将来が嘱望される若手たちが控えている。若返りの波に抗い、外野の定位置を奪い返すためには、結果で示すしかない。
まだ成し得ていない目標に向かって
他球団から巨人にFAで移籍した選手が、長期間活躍することは非常に難しい。
日本ハムから巨人にFA移籍し、
アレックス・ラミレスと共に中軸で活躍した
小笠原道大(現巨人三軍打撃コーチ)は移籍1年目の07年から4年連続「打率3割、30本塁打」を達成したが、11年は故障や打撃不振に苦しみ、83試合出場で打率.242、5本塁打、20打点。その後は12年に34試合、13年に22試合と出場機会を減らし、同年限りで巨人を退団して
中日に移籍した。
丸は今年が5年契約の最終年。レギュラーを失うようだと今後の野球人生が変わってくる。幼少期は巨人ファン。東京ドームでプレーすることを夢見た野球少年だった。
原辰徳監督が現役時代に背負った背番号「8」を継承した理由について、「原監督が現役時代に、闘志あるプレーでファンを元気づけていたように、僕も一人でも多くのファンの方にガッツある闘志あふれるプレーを見ていただけたらという気持ちを持っていたので、選ばせていただきました」と5年前の入団会見で語っていた。
34歳とまだまだ老け込む年ではない。日本一というまだ成し得ていない目標がある。再び輝きを取り戻せるか。
写真=BBM