プロ野球の「定説」
「接戦に勝てるチームは強い」というのがプロ野球の「定説」になっているが、今季の1点差ゲームの勝敗はどうなっているのか(カッコ内は実際の順位)。
◎セ・リーグ
1位
阪神 16勝 7敗 勝率.696(1位)
2位
巨人 16勝13敗 勝率.552(4位)
3位
広島 15勝15敗 勝率.500(2位)
4位
DeNA 14勝16敗 勝率.467(3位)
5位
ヤクルト 12勝16敗 勝率.429(5位)
6位
中日 9勝17敗 勝率.346(6位)
◎パ・リーグ
1位
オリックス 16勝 8敗 勝率.667(1位)
2位
ロッテ 21勝11敗 勝率.656(2位)
3位
楽天 17勝14敗 勝率.548(4位)
4位
ソフトバンク 14勝12敗 勝率.538(3位)
5位
西武 12勝16敗 勝率.429(5位)
6位
日本ハム 9勝26敗 勝率.257(6位)
阪神は7割近い勝率

7月12日のDeNA戦では森下翔太のサヨナラ犠飛により5対4で勝利。これで阪神は今季1点差で16勝目をマーク
セ・リーグは2~4位、パ・リーグも3位と4位は実際の順位とは違っているが、ほかは1点差ゲームの勝率がそのままの順位になっていて、やはり究極の接戦である1点差ゲームに勝てるチームは強いという結果になっている。
2リーグ制となった1950年以降、1点差ゲームの勝率が7割を超えたのは16チームあるが、優勝=9、2位=4、3位=3とすべてAクラス入りを果たしている。
セ・リーグのトップは阪神で16勝7敗、勝率.696。月別では4月=5勝2敗、5月=7勝1敗、6月=2勝3敗、7月=2勝1敗で、19勝5敗と絶好調だった5月は1点差ゲームも1敗しかしなかった。この月のリリーフ陣の防御率は1.99だった。
一方、ゲーム差なしで優勝争いをしている広島は15勝15敗の五分。開幕からクローザーの
栗林良吏の調子が今ひとつで、4月だけで4敗を喫していて登録を抹消された。交流戦前までの広島の1点差ゲームは5勝11敗だったが、6、7月はリリーフ陣も整備され10勝4敗と勝負強さを発揮している。
16勝13敗と勝ち越している巨人は、5月25日までは10勝3敗だったが、それ以降は6勝10敗。DeNAも5月4日まで6勝1敗で、それ以降は8勝14敗。巨人はクローザーの
大勢が6月末に登録を抹消され、DeNAも
山崎康晃が5月以降5敗を喫していて、このあたりが1点差ゲームの勝敗に影響している。
パは4位までが勝ち越し

現在12連敗中の日本ハム。1点差で負けることが多い
パ・リーグは首位のオリックスから4位の楽天までが1点差ゲームは勝ち越し。首位争いをしているオリックス、ロッテは勝率6割台。ロッテは特に接戦が多くすでに21勝を挙げている。7月4日から9日には5試合連続1点差勝ちと勝負強さを見せている。
ロッテと対照的なのは日本ハムだ。9勝26敗、勝率.257と12球団でも唯一の2割台。現在の勝率は2リーグ制以降では2003年の横浜の勝率.179(7勝32敗)に次ぐワースト記録。日本ハムは借金17だが、1点差ゲームの借金とまったく一緒だ。
7月8日のソフトバンク戦から16日の西武戦まで、プロ野球ワーストとなる7試合連続1点差負け。現在12連敗中だが、1点差負け=8、2点差負け=2とほとんどが接戦での敗戦だ。日本ハムは2点差試合でも6勝12敗と大きく負け越しており、2点差以内では15勝38敗、勝率.283とやはり2割台の勝率だ。
点差のついたゲームは、選手の能力が発揮されて勝つと言われているが、接戦のゲームは選手の能力+ベンチワークが重要と言われているのが野球。
1点差負けのシーズン記録は64年の近鉄で35敗(23勝、勝率.397)。このペースで行くとワースト敗戦も見えてしまう日本ハム。後半戦、ベンチワークも含めて接戦の戦い方が問われる。
文=永山智浩 写真=BBM