都市対抗は東海予選敗退

表紙
現役時代、
中日ドラゴンズ、
西武ライオンズ、
千葉ロッテマリーンズで活躍した外野守備の名手・
平野謙さんの著書『雨のち晴れがちょうどいい。』が、8月4日発売される。
両親を早くに亡くし、姉と2人で金物店を営んでいた時代は、エッセイストの姉・内藤洋子さんが書籍にし、NHKのテレビドラマにもなっている。
波乱万丈の現役生活を経て、引退後の指導歴は、NPBのロッテ、北海道
日本ハム、中日をはじめ、社会人野球・住友金属鹿島、韓国・起亜タイガース、独立リーグ・群馬ダイヤモンドペガサスと多彩。
そして2023年1月からは静岡県島田市のクラブチーム、山岸ロジスターズの監督になった。
これは書籍の内容をチョイ出ししていく企画だが、まずは平野氏から近況報告その2です。
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こんにちは! 平野謙です。このたびベースボール・マガジン社から僕の書籍『雨のち晴れがちょうどいい。』を発売することになりました。
今回は近況その2です。
山岸ロジスターズの監督になったとき、最初に考えたのは、チームの実力と、ほかのチームとの力関係の把握です。クラブチームの指導経験はなかったので、完全に手探り状態でしたが、練習、実戦を重ねながらなんとなくつかんできたところで、まず第一の目標、都市対抗予選がやってきました。
はっきり言われたわけではありませんが、ここ何年か静岡予選で敗退していたようで、ここは絶対に突破しなければと思っていましたが、選手が頑張ってくれ、なんとか優勝です。
ただ、6月の東海二次予選では1戦目は王子に1対13、2戦目はジェイプロジェクトに1対5で敗退となりました。「たら・れば」を言っても仕方ありませんが、2戦目は、もしかしたら勝てたかもしれない試合ではありました。
初回、いきなりノーアウト満塁にしながら無得点に終わりましたが、あそこで1点でも先制できれば、相手は焦ったはずです。
そのあとも毎回のようにチャンスがありながら、なかなかホームにかえって来られず、敗戦となりました。
うちのように経験不足のチームは特にですが、まずは先制点を取って優位に立つことが大事になります。劣勢になると、相手が実際以上に大きく見えて、6、7割の力加減で戦えばいいのに、10割、12割を出さなければと力みかえってしまいます。
野球の勝敗は選手個々の力だけで決まるものではありません。力や経験が及ばなくても勝つことはできます。ただ、送りバントもそうですが、そのための最低条件が「当たり前のことを当たり前にやる」ことだと思います。
特に守備です。守りのミスは流れを簡単に変えてしまいます。捕れるボールはしっかり捕る、投手が打ち取った打球はしっかりアウトにすることを心掛けてほしいと思い、いつも梅干を3個くらい頬張っているような顔で、口を酸っぱくして言っています。
あと一歩で全国だったが…
次なる目標はクラブ選手権の全国大会出場です。
これはかなり惜しかった。
順調に勝ち上がりましたが、7月23日、東海二次予選決勝で『矢場とん』に負けてましました。
勝てば新潟での全国大会に進めたのですが、延長10回、タイブレークとなって0対1のサヨナラ負けです。残念だったし、悔しかった……。泣いている選手もいました。
でも、あの猛暑の中、1日2試合、しかも間は30分程度ですから、みんなよく頑張ったと思います。ほんと、拍手です。
東海二次予選で決勝まで行ったのは初めてと聞いています。きっと、ただ「負けた、残念だった」ではなく、自分たちがここから上に行くために何が足りないのか、何をしなければいけないのかと、感じてくれたと思います。
これからにつながる敗戦だったと思います。
※著書発売を記念し、8月7日、都内西荻窪『今野書店』で平野謙さんのトークショー&サイン会を開催します(16時開始)。暑い中ですが、ご興味のある方は是非!