マンモススタンドに流れた爽やかな空気

歌手・俳優の山崎育三郎さんが開会式で大会歌を歌った[写真=牛島寿人]
第105回全国高等学校野球選手権記念大会が8月6日、
阪神甲子園球場で開幕した。
同大会の大会歌『栄冠は君に輝く』を作曲した福島市出身の作曲家・古関裕而さんが今年、野球殿堂入り。この功績をたたえるため、開会式で歌手・俳優の山崎育三郎さんが大会歌を歌った。
山崎さんは、古関氏がモデルとなったNHKの朝ドラ『エール』に出演。大会歌を歌う役を務めた。2021年夏の開会式直前では大会歌を独唱。2年前はコロナ禍で無観客だったが、今回は多くの観衆の中で披露した。1番はアカペラ、2、3番は吹奏楽の大演奏が加わり、合唱団と一緒に歌った。
場内はメロディーに合わせた手拍子に包まれ、4年ぶりの通常開催が戻ったひと時であった。山崎さんは3番を歌い終えると、出場49代表校の選手たちに一礼。そして、吹奏楽、合唱団にも感謝のポーズを取り、ネット裏、一塁側へも丁寧に頭を下げた。コメントは下記である。
「前回は、コロナ禍の開会式ということで、無観客、そして吹奏楽部の皆さんとの共演も無くなってしまいました。甲子園中止の発表後に、高校球児との対談もさせていただき、目指していた場所を奪われ、青春を謳歌できなかった球児たちの思いをうかがいました。コロナで中止になった3年前、無観客で歌わせていただいた2年前の光景、朝ドラで久志として歌わせていただいたこと、野球少年時代の憧れの甲子園、球児たちの思い、さまざまな思いが込み上げてきました。今回は、吹奏楽、合唱の皆さんとの共演も実現し、皆さんの奏でる音を感じながら、目の前に立つ球児たちへ応援歌として歌わせていただきました。105回という節目の年に、甲子園で歌わせていただいたことは一生の宝となりました。選手の皆さんには、暑さ対策をしながら、野球を全力で楽しんでほしいです。最後まで応援しています」
マンモススタンドには、爽やかな空気が流れた。やはり、グラウンドと観衆が一体となってこそ、夏の甲子園の本来の姿である。
文=岡本朋祐