原点回帰のフォーム変更

ソロ本塁打を含む3安打と大活躍の東海大・臼井直生
【9月24日】一部リーグ戦
東海大7-0明治学院大
(1勝1敗)
秋季首都大学リーグ第4週2日目。第1週は筑波大に2勝1敗、第2週は桜美林大に2連敗と、勝ち点1で第4週を迎えた東海大。今週は、まだ勝ち点のない明治学院大との対戦が組まれており、前日の1回戦を落としているだけに負けられない一戦となった。
この試合で東海大の先発マスクをかぶったのが臼井直生(3年・東海大菅生高)だ。臼井たちの学年は、コロナ禍の影響で3年夏の甲子園が中止になった世代。3年夏に行われた独自大会では西東京大会で優勝し、東東京を制した帝京高との東西対抗戦では9回にサヨナラ打を放ち、東京ナンバーワンの座を手にしている。
しかし、東海大進学後は故障に見舞われ、1年生の12月にトミー・ジョン手術を経験。1年以上に及ぶ長いリハビリ期間中は、トレーニングをしながらリーグ戦を観ていたという。「目の前で行われる試合をただ観ることしかできず、『試合に出たい』という気持ちが強かったです」と振り返る。
リーグ戦デビューを果たしたのは今春。しかし、打率.176 と結果を残すことができなかった。この秋も前週までは無安打に終わっていた。しかし、前日に行われた明治学院大との1回戦で途中出場すると、今季初安打を適時打で飾るなど2打点の活躍を見せた。
「大学でバットも木製に変わったので、いろいろとバッティングフォームを試してきたのですが、どれも上手くいかずに調子が上がってきませんでした。それで、この試合から高校時代のバッティングフォームに戻し、上げた左足を振り子のように動かして、同時に体を少しひねるようにして肩が開かないようにしました」
打撃フォームを戻した効果は、この2回戦も続いた。九番・捕手で先発出場すると、5回表の第2打席で甘いストレートをとらえて左翼へリーグ戦では自身初となるソロ本塁打を放った。
「バッター有利のカウントになったのでストレートを狙っていたのですが、完ぺきな当たりでした」。さらに第3打席は左翼へ安打、第4打席は中堅へ二塁打を放ち、あわやサイクル安打の勢いだった。
守っては投手を好リード
また、マスクをかぶれば、寮で同室だという1年生右腕の
米田天翼(市和歌山高)を好リード。
「前日の夜に相手バッターをイメージして攻め方をすり合わせていました。米田は球種が多いので、ダメなボールがあっても他の球種で勝負すれば良いのでリードしやすい。今日はストレートを軸に右打者には真横に曲がるスイーパーとスラーブ。左打者にはツーシームとカットボールを中心に組み立てました」と巧みな配球で相手打線を無失点に抑えた。
チームを率いる井尻陽久監督も「(臼井は)バッティングで良いものを持っていて、リードも評価しています」と話しており、攻守の両面で期待をかけているようだ。結局、試合は9回表に大量5点を加えた東海大が7対0で勝利。臼井は好リードで米田のリーグ初白星、初完封をサポートした。
今後のリーグ戦に向けては「4年生と試合ができるのは今シーズンが最後になるので、絶対に関東地区大会に出場し、少しでも長く一緒にプレーして恩返しがしたいです」と話した臼井。混戦が続く首都大学リーグから、東海大は抜け出しを図る。
文&写真=大平明