「一つも落とせないトーナメント」
早大は明大に1勝2敗で勝ち点を落とした。小宮山監督[左から2人目]は試合後、無念を語ったが、次への戦いへと切り替えていた。主将・森田朝陽[左から5人目]も前を向いた[写真=矢野寿明]
明大の85年ぶりの東京六大学リーグ4連覇を阻止する――。早大は春の閉幕以降、このテーマを掲げ、8月は新潟・南魚沼キャンプで約2週間、厳しいメニューを消化。今秋の第3週での直接対決に、すべてをかけてきた。
早大は1回戦で先勝したものの、2、3回戦を連敗して、勝ち点を落とした。3回戦(9月25日)は2安打完封負け(0対2)。早大・
小宮山悟監督は「(相手投手に)良いボールを投げられたら、しょうがない。ボールを丁寧に、両コーナーに低く投げていた。ただ、ヒットを打てないでは困る。打つために練習しているわけですから……」と、振り返った。
王者・明大の牙城を崩すには、小宮山監督は「ミスを出さない」と、繰り返していたが、3回戦はうまく機能しなかった。1回表の守りでは、外野手の打球判断ミスによる後逸でピンチを広げ、先制点を許した。「ヨーイドンで難しい部分もあったかもしれないが、捕球できない打球ではない」。背番号11を着けるエース右腕・
加藤孝太郎(4年・下妻一高)は6回1失点と粘投を見せたが、小宮山監督は初回の投球内容に触れ「ミスをカバーできれば、強いチームになる」と奮起を促した。
攻撃面では、6回裏一死一、二塁からの遊直で二塁走者が帰塁できずに併殺。小宮山監督は4回裏一死三塁から三番・
熊田任洋(4年・東邦高)の打席も挙げ「バットに当てられない(空振り三振)。これも、ミス」と、厳しい表情で語った。
早大は2カードを終え、3勝2敗、勝ち点1とした。残るは3カード(立大、法大、慶大)である。小宮山監督は、意気込みを語る。
「可能性は、ゼロではないので……。昨秋は(第3週の明大戦で)連敗から6連勝して、あと少しのところまでいった(明大は第7週で9勝2敗1分、勝ち点4として優勝。早大は開幕週の法大戦で連勝し、第8週の慶大に連勝して6連勝。8勝2敗、勝ち点4も、明大の勝率に及ばず)。この秋は一つ取って、(二つを)落としているので、昨秋よりも可能性は大きいので、残り6試合、頑張ります。一つも落とせないトーナメントです」
2020年秋以来の天皇杯奪還へ。早大はなりふり構わず、ただ、勝利にこだわっていく。
文=岡本朋祐