粘りが光った横浜

横浜高は東海大相模高との神奈川県大会準決勝を延長10回タイブレークの末に、サヨナラ勝ちを収めた。村田監督はスタンドに勝利を報告した
関東大会出場を決める神奈川県大会準決勝(9月30日)。横浜高と東海大相模高による名門校対決は、意地と意地の激突となった。
5対5のまま9回を終え、延長10回からはタイブレーク(無死一、二塁からの継続打順)である。最後は経験の差が出た。
東海大相模高は10回表に4点を挙げた。
「2人の走者は関係ないので、バッターに集中ということで送り出したんですが……。本来であれば、ウチが有利という状況。ランナーがたまると非常に難しいです。そういう結果になったのは難しい……」(
原俊介監督)

東海大相模高は横浜高との神奈川県大会準決勝で敗退。来春のセンバツ出場は絶望的となった
東海大相模高は10回裏の守りを5失点で、サヨナラ負けを喫した。公式戦でのタイブレークは初めてだった。
「タイブレークの練習? それほどやっていない。先攻、後攻でよく考えますが、やってみないと分からない。一生懸命やった結果。すぐに切り替えるのは難しいかもしれませんが、新しい一歩を踏み出していく。私自身もそうです」(原監督)
明暗がくっきり分かれた。横浜高は粘りが光った。村田浩明監督は言う。
「この夏、慶応さんに(2点リードした)9回表に3点(逆転3ラン)を取られて、あれがあったからこそ、乗り越えないといけませんでしたし『ウチもできるんだぞ!』と。横浜高校としては、夏の悔しい思いを一つ、乗り越えられたかな、と。強くなれたかな、と」
横浜高は向上高との3回戦でもタイブレークを勝ち上がっていた。10回表の守りで1失点も、その裏の攻撃で2点を挙げ、サヨナラ勝ち(6対5)。場数を踏んでおり、相手よりも精神的にやや優位に立ったかもしれない。
勝負はこれからである。横浜高は桐光学園高との決勝を経て、関東大会に駒を進める。昨秋は準々決勝敗退で、センバツ選考委員会では落選し、関東地区の補欠校に回った。関東大会で2勝を挙げての「4強進出」が、甲子園への当確圏内と言われる。本当の意味で今夏の悔しさを晴らすは、もう少し先だ。
写真=田中慎一郎