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【大学野球】3カード連続勝ち点の慶大 チーム打率、本塁打はリーグ断トツ 王者・明大に真っ向から挑戦

 

「こちらはチャレンジしていく立場」


東大2回戦でリーグ戦初勝利を挙げた慶大・竹内[左]は1勝目のポーズ。5安打5打点の四番・栗林[右]も喜びを「5」で表現した


 慶大が第4週の東大2回戦(10月1日)で連勝(10対4)し、開幕から立大、法大と3カード連続で勝ち点を挙げ、6勝1敗(1分)とした。85年ぶりの4連覇を狙う明大も第4週で立大に連勝して6勝1敗。同率の両校は第6週(10月14日〜)で直接対決が控えており、この秋の天皇杯をかけた大一番となる。

 春秋連覇を遂げた2021年秋以来のV奪還を目指す慶大・堀井哲也監督は「全大学さんが明治さんに向かっている中でも、首位に立っているのは、相当な力がある。こちらはチャレンジしていく立場」と、闘志を内に秘めた。

 東大戦は2試合で31安打21得点と打線が上向き。チーム打率.307、9本塁打はいずれもリーグで断トツのトップである。

 第4週終了時点で四番・栗林泰三(4年・桐蔭学園高)が打率.438でトップに立っている。右の強打者は東大2回戦では2ラン(今季3号、通算6号)を含む6打数5安打5打点と大爆発。「自信を持って、打席に立つ。毎日の練習をやり切る。不安があったとしたら、その日のうちにやり切る。打撃陣の調子が良いので、自分の仕事をする」と、自身が決めにいくのではなく、つなぎに徹している。

 栗林には、二重の喜びがあった。同2回戦は2番手で救援した右腕・竹内丈(1年・桐蔭学園高)が5回1安打無失点でリーグ戦初勝利をマークした。栗林は「すごくうれしい。(合宿所で)同じ部屋なんです。ふだんの頑張りを見ている。成長を感じます」と、高校を通じての先輩であり、目尻を下げた。

 竹内は1年生ながら今春の早慶戦(2回戦)でリーグ戦デビュー。今秋は救援として実績を重ね、法大4回戦では初先発を任され、通算6試合目にして初白星を手にした。

「一人ひとりを抑えていく中でつかんだ初勝利。今後にもつながる」

 持ち味はテンポの良さだ。この日も5イニングで38球の省エネ投球。打者に考える時間を与えないほど、どんどん投げ込んでくる。

「調子が悪くても、早いテンポで投げるのはいつでもできること。初球にストライクを取ってリズムを作る。ワンポイント、ロングリリーフ、いつでも行けるよう準備しています」

 堀井監督は「制球力、度胸、変化球の精度」と、早くも全幅の信頼を寄せている。AO入試を経て入学した竹内は、慶大を志望した理由を語った。

「慶應は強く、学業と野球を、高いレベルで取り組みたかった」。そして、一呼吸を置いて「高校の先輩である栗林さんとプレーしたかったからです」と丁ねいに言葉を並べた。横にいた堀井監督は「(話している中で)思い出したのか?」と言えば、栗林は「よく言った!」と笑顔。上級生と下級生の壁を越え、風通しの良いムードを垣間見せるやり取りだった。

 日々の練習から自らで考え、苦しみ、試合で成果を収めて、初めて達成感を得る「エンジョイ・ベースボール」。慶大は王者・明大に真っ向から挑戦していく。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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