来季以降が楽しみな選手も
パ・リーグは上位指名の大卒・社会人卒で抜きん出た活躍を見せた選手が少なかった。投打の「二刀流」で注目された
矢澤宏太(
日本ハム)、夏場に一軍で広角に安打を打ち続けた
蛭間拓哉(
西武)は能力が高いだけに、来年は開幕から試合に出続けたい。
楽天の
渡辺翔太、
荘司康誠を今回のルーキー採点簿【パ・リーグ編】で1、2位に選出したが、黄金ドラフトの予感を漂わせるのが
オリックスだ。1位の
曽谷龍平は10月9日の
ソフトバンク戦(京セラドーム)でプロ初勝利をマーク。育成4位の
茶野篤政が支配下に昇格して奮闘し、3位の
齋藤響介も高卒1年目で一軍デビュー登板を飾った。育成3位の
入山海斗はウエスタン・リーグで13セーブをマーク。和製大砲の2位・
内藤鵬、4位・
杉澤龍と逸材ぞろいで、何人の選手が大化けするか楽しみだ。

楽天・渡辺
1位 渡辺翔太(楽天)
※今季成績 51試合登板、8勝3敗1セーブ25ホールド、防御率2.40
開幕一軍入りは逃したが、6月3日に昇格するとセットアッパーに定着。打者に強烈な印象を植え付けたのが伝家の宝刀・パームボールだ。揺れながら沈む軌道でバットの芯をことごとく外す。150キロを超える直球、カットボールの精度も高く、安定感抜群。被打率は右打者が.143、左打者が.213としっかり抑え込んでいる。多彩な球種で制球も良いため、先発でも十分に通用するだろう。来季の起用法が注目される。

楽天・荘司
2位 荘司康誠(楽天)
※今季成績 19試合登板、5勝3敗、防御率3.36
右の本格派右腕で189cmの長身からスピンの利いた直球を投げ込む。大学時代は故障した期間が長くリーグ戦通算2勝だったことから「素材型」と評されたが、1年目から登板間隔を空けながらも1年間を完走したことは大きな自信につながっただろう。109回2/3を投げて93奪三振の投球内容は十分に合格点をつけられる。
田中将大、
則本昂大からエースの系譜を継ぐ能力は十分に持っている。

オリックス・茶野
3位 茶野篤政(オリックス)
※今季成績 91試合出場、打率.237、1本塁打、23打点、7盗塁
今年の新人で想像以上の活躍を見せたのが茶野だ。育成枠で入団した当時は無名の存在だったが開幕前に支配下昇格し、育成の新人では史上初の開幕スタメンに名を連ねた。春先はリードオフマンとして打線を牽引。7月以降は息切れし、リーグ3連覇のときはファームだったが、攻守で貢献度は高い。俊足巧打で外野の守備も球際に強く、一つひとつのプレーに執念を感じさせる。飽くなき向上心で外野のレギュラーを目指す。

ソフトバンク・大津
4位
大津亮介(ソフトバンク)
※今季成績 46試合登板、2勝0敗13ホールド、防御率2.43
直球は140キロ台後半と決して速い部類ではなく、三振奪取率が高いわけではないが、多彩な変化球を操り凡打の山を築く。スライダー、カットボール、ワンシーム、カーブ、チェンジアップ、フォークと全ての球種のクォリティーが高い。チーム事情で救援を務めたが、社会人時代は先発で適性は十分にある。端正な顔立ちで女性人気も高い。4年ぶりのV奪回へ、今年の経験を糧にさらなる飛躍が期待される。
5位
友杉篤輝(ロッテ)
※今季成績 64試合出場、打率.254、0本塁打、9打点、9盗塁
正遊撃手の
藤岡裕大からレギュラー奪取ができなかったが、抜群の脚力と遊撃の広い守備範囲はプロでも十分に通用することを証明した。打撃でも広角に打ち分けるミート能力に加え、犠打など小技をきっちり決める。課題は選球眼か。209打席で9四球は少ない。際どい球を見極められるようになれば、出塁率.287はグッと上がる。対左投手に打率.196も改善の余地が。伸びしろ十分のスピードスターだ。
写真=BBM