1年目から7年連続50試合以上登板

今季は先発に専念したが結果を残すことができなかった森
来季に向けて各球団がチーム編成を進める中、戦力構想から外れて退団する選手たちがいる。年齢、実績は様々だが、今オフに構想外で一番の「大物」はこの投手だろう。
ソフトバンク・
森唯斗だ。
新人の2014年から7年連続50試合以上登板。セットアッパーとして結果を残すと、18年に故障で離脱した
デニス・サファテの後継者として守護神に抜擢される。37セーブをマークして自身初のタイトルを獲得。同年9月に週刊ベースボールのインタビューで、以下のように語っている。
「抑えを任されたことで、もっとやらないといけないなというのはありました。初めて抑えとしてマウンドに上がったのが、デニス(サファテ)が下半身の違和感を訴え登板を回避した4月17日(
楽天戦、ヤフオクドーム)。最初はプレッシャーがものすごくあって本当にガチガチで、すごく舞い上がっていた自分がいました」
「9回は本当に『上がった人にしか分からないところ』だと感じましたし、本当にすごいんですよ! すごい! 6、7、8回というのはまだ試合が続くじゃないですか。9回はここで終わらせないといけないというのがあって……。なんて表現したらいいんですかね。本当に上がった人にしか分からないと思いますよ」
野球は9回の3アウトを取るのが最も難しいと言われる。大きな重圧を背負いながらマウンドに立ち、同年から3年連続30セーブをマーク。17年から4年連続日本一に輝いた常勝軍団の抑えとして通算127セーブを積み上げた。
リリーフから先発へ転向
球界を代表するリリーバーに上りつめた野球人生に、陰りが見えたのが21年だ。左肘を手術した影響で30試合登板に減少して15セーブに終わると、昨年は開幕戦から6試合連続セーブもその後は痛打を浴びる登板が目立ち、無期限のファーム調整に。2カ月半後に中継ぎ要員で一軍復帰すると、9月16日の楽天戦(楽天生命パーク)では通算461試合目で初の先発マウンドに登った。
4年契約の最終年となったプロ10年目の今季は本格的に先発転向を決断。新たな役割で復活が期待されたが、6試合登板にとどまり2勝3敗、防御率4.60と不完全燃焼だった。今季初登板となった4月27日の楽天戦(PayPayドーム)で6回4安打無失点、5月10日の
日本ハム戦(PayPayドーム)でも5回3安打1失点ときっちり試合を作ったが、6月8日の
DeNA戦(PayPayドーム)で3回途中5失点KOを喫すると、ファームで約3カ月間調整に。9月は3試合に先発登板したが、1勝2敗、防御率5.17と結果を残せなかった。
ウエスタンでは安定した投球
ウエスタン・リーグでは12試合登板で5勝5敗、防御率1.54と安定したパフォーマンスを見せていた。他球団のスコアラーは「森は変化球が多彩でスタミナも十分あるので先発としての適性があると思いますが、救援でこそ輝きを放つ投手だと思います。ファームでの登板を見る限り大きく力が落ちたとは思わない。31歳とまだまだ若いですしね。先発、救援のどちらで欲しいのか球団によってニーズは変わってくると思います。来季は推定年俸4億6000万円からの大幅減俸が避けられないですが、複数球団の争奪戦になる可能性は十分にあると思います」と指摘する。
森は1992年1月の早生まれだが、同学年の「91年世代」はチームメートの
今宮健太、
石川柊太のほか、
岩崎優、
岩貞祐太(
阪神)、
九里亜蓮、
大瀬良大地、
堂林翔太(
広島)、
杉本裕太郎(
オリックス)、
菊池雄星(ブルージェイズ)とチームの主力として活躍している選手が多い。このままでは終われない。ソフトバンクの鉄腕は新天地でよみがえるか。
写真=BBM