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【大学野球】東大から6年ぶりベストナイン受賞か!? 6位タイの打率.353“不動の一番”酒井捷

 

5二塁打が好調の裏付け


東大・酒井は立大1回戦の5回裏に適時二塁打。この日は2安打を放ち、打率.353とリーグ6位タイとした[写真=矢野寿明]


[東京六大学秋季リーグ戦第7週]
10月21日(神宮)
立大9−2東大(立大1勝)

 東大のベストナイン受賞者は2017年秋、外野手部門の楠田創(当時4年・桐朋高、打率.341、3本塁打、9打点)が最後である。

 6年ぶりのチャンスを迎えているのは、不動の一番・中堅の酒井捷(2年・仙台二高)である。立大1回戦では3回裏に中前打、4点を追う5回裏一死一、三塁から追撃の右越え適時二塁打を放った。この日は3打数2安打で、打率.353(リーグ6位タイ)とした。

「(タイムリーは)得点圏に走者がいる場面。積極的にファーストストライクを狙っていこうと思いました」

 有言実行。プロ志望届を提出している立大のエース右腕・池田陽佑(4年・智弁和歌山高)が投じた、カウント2ボールからの3球目の138キロのストレートを見事にはじき返した。

 今季12安打のうち二塁打5本は、リーグトップ。この数字に、好調の裏付けがある。

「夏場から長打が増えてきて、練習の成果が出ている。(バットを)長く持ったほうが長打は打ちやすいと言われますが、今秋からバットを短く持っています。コンタクトしやすくなる。日ごろから打球速度を計測している中で、打球角度にこだわってきたのが、二塁打の数につながっていると思います」

 ベストナインは記者投票によって選出される。

「自分として1年間、目指してきたところ。チームの勝利に貢献した上で、個人賞が取れれば、自分としての成果を、形として表れるのは一番良いことです」

「先輩方に恩返ししたい」


 東大は前カードの法大2回戦で、昨秋の慶大1回戦以来の白星を挙げた。酒井はレギュラーとしての初勝利に試合後、感極まった。

「1年間、勝てていない状況。勝った瞬間は目の前がパッと明るくなった。(勝って泣いたのは、野球人生で)初めてです。周りの先輩を見たら泣いていなくて……。恥ずかしかったです。先輩にいじられました(苦笑)」

 それだけ勝利への執念が強い証拠だ。東大は立大1回戦を2対9で落とした。立大とは勝ち点0同士の直接対決である。東大が勝ち点(2勝先勝)を奪えば、1998年春から続く51季連続最下位を脱出することができる。

「今の4年生にはお世話になっていて、メンバー外の4年生も相手校の分析など、いろいろな場面でチームに貢献している。先輩方に恩返ししたい。目の前の勝利、勝ち点を目指していきたいです」

 このまま4年生を卒業させるわけにはいかない。下級生ながらチームを背負う自覚がある赤門リードオフマンが、打線を活気づける。

文=岡本朋祐
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