138球の熱投で1失点完投勝利

138球を投げ切り完投でシリーズ初勝利を挙げた山本
[日本シリーズ第6戦]
11月4日(京セラドーム)
オリックス5-1
阪神(3勝3敗)
オリックスが逆王手をかけたが、勝因は
山本由伸のピッチングに尽きるだろう。初戦は6回途中7失点で負け投手となったが、敗因として挙げられたのはカーブが思うように操れなかったこと。カーブの投球割合が下がり、直球、フォーク中心の配球となり、投球の幅が狭まってしまっていた。しかし、この試合ではカーブの割合は約17%。シーズン中は約16%だったから、本来のピッチングに戻ったと言える。
カーブが使えるから緩急で直球が生き、フォークもいい高さから落ちていた。2回は
ノイジーに先制ソロを浴びたあと一死一、三塁から
木浪聖也を見逃し三振、死球で二死満塁となったあとは
近本光司を空振り三振。3、4回もそうだが要所で三振を奪ってピンチを切り抜けたのは、やはりカーブを使えたことが大きかっただろう。
さらに気持ちの部分もプラスに作用したのは間違いない。先制された直後、すぐに野手が逆転してくれた。体調が万全ではない
杉本裕太郎も二塁打を放ってチャンス拡大。4回には二死一、三塁で右翼・
森友哉がフェンス際でジャンプして大飛球をもぎ取る美技を見せた。野手の必死のプレーはしっかりと伝わったはずだ。もちろん、負ければ日本一を逃し、さらに自身もシリーズで勝利をつかめていない。日本で最後のマウンドになる可能性もある。そういった背景も力になったのは確かだろう。
5回はギアが上がった感じで三者凡退。その裏、
紅林弘太郎に2ランが飛び出して、8回には
頓宮裕真もソロ。山本は最後まで一人で投げ切るという気概にあふれるピッチングを見せた。9回に入っても
糸原健斗に対して157キロをマークする直球で空振り三振に仕留める馬力。138球の熱投で1失点完投勝利を成し遂げた。
一方、阪神先発の
村上頌樹は全体的にボールが上ずり、糸を引くような低めの直球も見られず、本調子ではなかった。5回4失点でマウンドを降り、その後は
西勇輝が一人で最後まで投げた。両チームともリリーフを使っていない。オリックスは
宮城大弥、阪神は
青柳晃洋が先発する第7戦は総力戦となる。投手の継投が勝敗を分ける一つのポイントとなるだろう。
写真=BBM