日本シリーズでは優秀選手賞
オリックスとの日本シリーズで4勝3敗と激闘を制し、38年ぶりの日本一に輝いた
阪神。その救世主となったのがシェルドン・ノイジーだ。
「五番・左翼」でスタメン出場した第7戦。今シリーズ初登板の
青柳晃洋と相手左腕・
宮城大弥との息詰まる投手戦で、試合の流れを大きく変えたのがノイジーの一撃だった。4回一死一、二塁の好機で内角低めのチェンジアップを左翼席に運ぶ先制3ラン。決して簡単な球ではないだけに、相手バッテリーに与えたダメージは大きかった。第6戦で2回に球界を代表する右腕・
山本由伸の156キロ直球を右翼席へ運んだ一発に続き、2試合連続アーチが値千金の一打となり打線に火がついた。5回に3点を加えて突き放し、勝負あり。ノイジーは日本シリーズの優秀選手賞に選ばれた。
短期決戦での強さが光る。
広島と対戦したCSファイナルステージ第3戦(甲子園)では1点差を追いかける4回二死一、二塁で右前に運ぶ同点適時打。長打だけでなく状況に応じて逆方向にも安打を打てる。シーズンでの働きを見ると、驚きを感じたファンは多かったのではないだろうか。来日1年目は133試合出場で、打率.240、9本塁打、56打点。中距離打者として期待されたが、なかなか打率が上がらない。開幕から三番を担っていたが、打撃の状態が上がらず6月に4試合連続でスタメンを外れた。
チームをもり立てる全力プレー
岡田彰布監督は週刊ベースボールのコラムで、こう指摘している。
「6月に入り、三番を打たせてきたノイジーの状態が悪くなった。さすがにオレもキレた(と表向き、そうなっている)。まったく同じバッティングを繰り返しているわけよ。ストライクゾーンを気にするばかりで、ボール球に手を出してしまう。振らずに立っていたら四球といったところでもボール球を追っかけてしまっている。日本のストライクゾーンを、もう分かっているはずやろ。開幕して3カ月近くたつわけやろ。それでオレも先発を外した(6月7日の
楽天戦)んやけど、ここを改善しないことには、なかなか結果は出ないと思うよね。要は本人の考え方。打ちたい、打ちたいを押し殺して、どこまで我慢して打席に立てるか。ここやろと思う」
外国人選手がNPBですぐに活躍できる時代ではなくなった。岡田監督もある程度は我慢して起用し続ける方針だったのだろう。ノイジーの復調を待てたのは、外野の守備が計算できたことも大きかった。球際に強く12補殺はリーグトップ。常に全力プレーでもり立てていた。
巧みな変化球打ち

2012、13年と巨人でプレーしたボウカー
短期決戦での活躍が光り、契約延長を勝ち取った助っ人は過去にもいた。巨人でプレーした
ジョン・ボウカーは来日1年目に69試合出場で打率.196、3本塁打、10打点と期待外れの成績に終わったが、CSで10打数5安打と打棒が爆発し、
日本ハムと対戦した日本シリーズでも2本塁、7打点の活躍で日本一に大きく貢献。13年も巨人でプレーし、105試合出場で打率.262、14本塁打、46打点をマークした。
ノイジーはどうだろうか。
他球団のスコアラーは「変化球を打つのがうまい選手。宮城から日本シリーズで打った3ランが象徴的です。今年はシーズンでNPBとメジャーのストライクゾーンの違いに苦労していた印象ですが、打撃技術がある選手なので対応できれば数字は自然と上がると思います。来年は大ブレークしても決して不思議ではない」と分析する。
報道によると、ノイジーの来季の去就は未定だという。日本シリーズで阪神ファンから「バースの再来」と形容される活躍を見せた助っ人の動向が注目される。
写真=BBM