注目を浴びる中で

明大・田中監督は主将・宗山の侍ジャパントップチーム入りについて語った[写真=田中慎一郎]
「カーネクスト 侍ジャパンシリーズ 2024 日本 vs 欧州代表」(3月6、7日。京セラドーム)に出場する侍ジャパン28選手が2月14日に発表された。
明大・
宗山塁(4年・広陵高)がトップチームに選出。大学入学から3年間、見守ってきた田中武宏監督はあえて、厳しい2つの要求をしている。これも、期待の裏返しだ。
まずは、根本的なプロと学生のレベルの差である。
「2月5日から12日まで宮崎、沖縄と12球団14カ所のキャンプ地を回りしました。日ごろからお世話になっている各球団さんへの挨拶、卒業生を激励することが目的で、25人中22人と会うことができました。
西武ではちょうど良いタイミングでシートノックを見たんですが、(ショートの)源田(
源田壮亮)君を見たら、ウチの宗山は、まだまだだな、と……。(源田選手は)まったく、力みがないですもんね。身のこなしが軽いし、ハンドリングはウチの宗山も負けていませんけど、一味違いますよね」
そして、こう続ける。
「その中(トップチーム)に入ったら刺激を受けて、今までも高いステージへ行ったことを力にしてきたので、良い機会を与えていただいたなと思っています」
欧州選抜とは2試合が組まれているが、集合日となる3月5日の前日練習から現地へ入るため、計3日のチーム帯同となる。超一流のプロ選手との実戦であり、これまでに経験のないほど、多くの人の目に触れる場に立つ。田中監督はさらに、厳しい言葉を並べる。
「注目されて、その度合いが上がれば力が出ないということであれば、そこまでの選手ですので……。それは、最初から彼に言っていること。注目される世界へ(卒業後はプロ)行こうとしているわけですから、目標としては必ず結果を出す。出さないと(明大としても)チームの勝利はない。期待しています」
第2戦は「スタメン」

明大・田中監督は主将・宗山のリーダーシップについて日々、成長を実感している[写真=田中慎一郎]
1月下旬。トップチームを指揮する
井端弘和監督が、明大グラウンドに挨拶に出向いた。井端監督は昨年12月の大学日本代表候補合宿(愛媛・松山)の時点で、宗山に対して、水面下で代表入りを打診。すでに遊撃守備は申し分なく、華のあるプレーにも惚れ込んでいたという。井端監督の訪問時、宗山は試験のため不在。本人に会うことが目的ではなかった。田中監督にあらためて代表選手選出の意向を伝えるとともに、普段の生活ぶりを探る「事前調査」が訪問の意図であったという。田中監督は宗山の「素顔」ついて、こう答えた。
「手がかかんないです。広陵高・中井(哲之)監督の指導の賜物です」
明大の主将として、自信を持って侍ジャパンへと送り出す。田中監督によれば、第1戦は「展開次第で、途中から出るかもしれません」と話し、第2戦は「スタメン」と明かした。
「経験は成長につながり、それがチームの力になる。喜ばしいことです」。発表の2月14日は沼津キャンプ初日だった。宗山の動きについて聞くと、田中監督は「いつも見ていますので、何とも思わないです」と語った。どんなときも浮き沈みがないのが、宗山の最大の強み。心をコントロールできる強さがある。
「キャプテンに指名されて、最初から完璧な人はいない。(21年の)丸山(
丸山和郁、
ヤクルト)、(22年の)村松(
村松開人、
中日)、(23年の)上田(
上田希由翔、
ロッテ)もそうでした。『自分でチームを作っていく。自覚を持ってやってくれ!!』と言いましたが、日に日にできている」と田中監督はニンマリである。沼津キャンプは23日まで行われ、帰京後はオープン戦が始まり、心身とも最高のコンディションに整えて決戦の地・大阪へと向かう。
文=岡本朋祐