“助っ投”合計で16セーブ

99年に8セーブをマークしたバルデス
試合の終盤、リードしているチームのマウンドに上がる助っ人クローザー。近年おなじみの光景といえるだろう。そのままチームが勝利すれば、その“助っ投”にはセーブがつく。通算セーブの十傑には
デニス・サファテ(
ソフトバンクほか)がいるのみだが、シーズンでは2017年のサファテがトップで、以下にも2021年の
ロベルト・スアレス(
阪神)や08年の
マーク・クルーン(
巨人)ら“助っ投”が散見される。いずれも21世紀の投手たちだ。
一方、21世紀に入って間もない04年に長い歴史に幕を下ろした近鉄。その“助っ投”たちのセーブを見ていくと、実に興味深い。プロ野球が全体的にクローザーという役割を“助っ投”に頼る傾向が強くなったという歴史の移り変わりに加えて、近鉄と助っ人との関わり方が見えてくるようだ。近鉄で印象に残る助っ人を1人だけ挙げるとしたら、
ラルフ・ブライアントと
タフィ・ローズの対決になってくるだろう。ともに球史に残るスラッガー。打って打って打ちまくる近鉄の豪快な野球を象徴する2人でもある。対して、少数派でもある近鉄の“助っ投”でセーブをマークしたのは、たった3人だけ。しかも、サファテや
スアレスとは比較にならないほど、その数字は小さい。
通算“セーブ王”は
カルロス・バルデス。通算といってもプレーしたのは1999年の1年だけで、
大塚晶文の故障で代役を務めたが、気性が荒く、大塚の安定感には遠く及ばず8セーブにとどまった。もちろんシーズンの“セーブ王”もバルデスとなる。続く2位は、近鉄ラストイヤーの
ヘクター・カラスコ。4月に5敗を喫するなど、クローザーとして成功したとは言えなかったが、最終的に8勝8敗、5セーブを残している。
最後の3位は、95年の
デニス・パウエル。94年の秋季キャンプでテスト入団、迎えた95年の開幕2戦目で完投勝利を挙げるなど、スターターとしての印象のほうが強い。2勝7敗3セーブと目立つ数字ではないが、防御率3.67は投手が打たれても打線が打ち返す近鉄の投手としては誇れる数字だ(?)。この3人で合計16セーブ。この小さい数字も近鉄の野球を雄弁に物語っている。
写真=BBM