場内インタビューで漏らした「本音」
健大高崎高の主将・箱山は紫紺の大優勝旗を手にした[写真=宮原和也]
第96回選抜高校野球大会▼第11日
【決勝(3月31日)】
健大高崎(群馬)3-2報徳学園(兵庫)
健大高崎高が創部22年でセンバツ初優勝を遂げた。群馬県勢初の春制覇。主将で四番・捕手の箱山遥人(3年)が攻守で存在感を発揮。常に強気なキャプテンも、初優勝直後の場内インタビューでは「本音」を漏らした。
「新チームが始まってからうまくいかないことばかりで、自分としてもキャプテンを辞めたい時期であったり、野球を嫌になった時期もあったんですけど、こうやって自分の言ったことにしっかり仲間がついてきてくれて、日本一を獲れるチームになってくれて、仲間に感謝したいです」
箱山は昨春も「四番・捕手」としてセンバツに出場。強肩強打の司令塔は、NPBスカウトからも注目されている。自身の代となってチームリーダーとなったが、歯車が狂ったという。生方啓介部長が明かす。
「2年夏までは旧主将・森田光希の下で、自分のプレーに集中していれば良かったんですが、実際に箱山が主将となって、状況が一変しました。本人には『プロに行きたい』という希望がありますが、レベルアップのため、自分の時間を思うように割けない。もちろん、チーム全体を見ないといけないからです」
昨年8月10日。新チーム初の公式戦扱いである地域の「西毛リーグ」の初戦で、東農大二高に敗退(7対8)した。そこで学んだのは、強いチームが勝つのではなく、勝ったチームが強いという現実。個ではなく、チーム力が必要であると感じたのだ。
「そこから、気持ちが入りました。箱山が強い個性をまとめた。あまりに責任感が強い箱山が、浮くようなムードもあったんですが、あの敗戦以降、中心選手の森山(森山竜之輔)、高山(高山裕次郎)、田中(田中陽翔)が箱山をサポートする形ができました。このチームのターニングポイントになりました」(生方部長)
常に俯瞰して、物事を冷静に見られる箱山は、捕手としての資質が備わっている。今センバツで「春日本一」の称号を得てもう一つ、ステージが上がった。キャッチャーは専門職。将来的に、箱山が球界の「頭脳」になれるだけのポテンシャルを秘めていると言える。
文=岡本朋祐