大学でフォーム変更

東大のサブマリン・渡辺は元ロッテほかで活躍した渡辺俊介氏[日本製鉄かずさマジック監督]を父に持つ[写真=矢野寿明]
【5月11日】東京六大学リーグ戦(神宮)
法大5-1東大(法大1勝)
着実に信頼を積み重ねている。
東大・渡辺向輝(3年・海城高)は法大1回戦の1対5の6回表から二番手で救援。2イニングを投げて、打者6人で抑える完ぺきな投球を見せた。今季6試合目の登板。すべてリリーフで、この一戦を含め、4試合を無失点に抑えている(計8回3失点、防御率3.38)。試合は法大が5対1で先勝した。
東大・大久保裕監督は「落ち着いてきました。安心して見ていられます。ストライクが取れる。左打者には甘く入るとカン!! と行かれていましたが、工夫して打ち取れるようになった。先発? それはいずれあると思います」と期待感を語った。報道陣から具体的な時期について問われると「任せるには、頼りない。経験がない。ただ、今の調子で行けばあり得る。任せるには心配性なもので(苦笑)」と、起用には慎重を期す構えを見せた。
敵将の法大・
大島公一監督は「いつも、いつも、似ているな~と思って見ています」と語った。大島監督はプロの現役時代、渡辺の父・渡辺俊介氏(元ロッテほか、現・日本製鉄かずさマジック監督)との対戦がある。「経験のないところからボールが出てくる。僕も(父から)打った記憶、ないですもん」と苦笑いを浮かべた。その上で「ゾーンに来ていたので、ああいう投球をされると手ごわい」と警戒感を示した。
渡辺は東大入学後、自らの意志で腕を下げたという。1回無失点に抑えた早大2回戦後、経緯をこう語っていた。
「(父の投球フォームと)逆を行こうと取り組んできましたが、ムダな動きを省いていくうち、結局、体のつくりも一緒なので、自然と同じ形になりました。高校まではオーバースロー。大学から始めたアンダースローで、大学卒業後はプロに行くかもしれない最高の相手と勝負できる。人生の中で一番、楽しい」
早大戦では相手ベンチに、父がロッテでチームメートだった
小宮山悟監督がさい配。幼少時代には本拠地・千葉マリンでいつもかわいがってもらっていた。「小宮山監督は、会社で言うと父の上司のような感じ。父がお世話になった方のチームと対戦できるのはすごくうれしい。光栄と感じています」と話した。
「フォームとしては、再現性を高める。大事な場面でのリリーフもある。走者がいるシーンでは落ち着いて、テンポ良く、球数を少なくしたい」。東京六大学でも希少価値の高いサブマリンが日々、存在感を増している。
文=岡本朋祐