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【大学野球】バッテリーがリズムを作り、少ない好機を生かす 目指してきた野球を体現した立大

 

各々が持ち味を発揮


立大は慶大4回戦から中2日となった明大1回戦で先勝。投打の殊勲者は試合後に笑顔を見せた。左から逆転二塁打を放った四番・西川、勝利投手の沖[写真=矢野寿明]


【5月11日】東京六大学リーグ戦(神宮)
立大4-1明大(立大1勝)

 バッテリーが粘ってリズムを作り、少ない好機を確実に生かす。立大は目指してきた野球を、神宮で体現することができた。

 明大1回戦。相手の先発右腕・高須大雅(3年・静岡高)に対して5回まで2安打無失点、7奪三振と立大打線は封じられていた。

 5回終了のグラウンド整備後に流れは変わった。1点を追う6回表、立大は一番からの好打順。前カードの慶大2回戦からトップバッターに抜てきされた1年生・小林隼翔(広陵高)が右前打で出塁する。二番の主将・田中祥都(4年・仙台育英高)が左前打、三番・柴田恭佑(4年・東明館高)も右前打で続き、無死満塁である。ここで四番・西川侑志(3年・神戸国際大付高)の左二塁打で2人の走者が生還し、逆転に成功。さらに、犠飛と野選で2点を加え、一挙4得点のビッグイニングとした。今春の立大はここ一番の好機であと一本が出なかったが、集中打を見せた。

「小林が先頭で出てくれたので、二番、三番とつないでくれた。回の先頭に尽きる。西川は四番としての役目を果たしてくれました」

 今春から母校を指揮する木村泰雄監督は目尻を下げた。投げては先発の大越怜(3年・東筑高)が4回1失点とゲームメークし、5回からは沖政宗(4年・磐城高)が3回無失点。8回は左腕・小林誠明(2年・日大二高)、9回は抑え役の吉野(3年・仙台育英高)と各々が持ち味を発揮し、4対1で逃げ切った。立大としては、理想の試合運びだった。

立大・沖は二番手で3回無失点で、今季初勝利。通算6勝目を挙げた[写真=矢野寿明]


 今季11試合中7試合目の登板で、昨春以来の白星をマークした沖は「何度も裏切り続ける投球をしてきたので……。バックが守ってくれて、皆のおかげで勝利投手になれました。4年間、ここで投げさせてもらっている。自分が疲れているところを見せるわけにはいかない」と、リーグ戦通算6勝目を感謝した。

 慶大3回戦から「四番・左翼」に入る西川は「フレッシュな1年生・小林が出塁したので、もっとフレッシュに勢いよくバットを振りました。五番には率を残す菅谷さん(真之介、4年・市船橋高)が控えているので、自分は4番目の打者の意識で打席に立っています」と語った。慶大2回戦では9回表、一時勝ち越しとなるソロ本塁打を放ち、立大はさらに1点を追加するも、その裏に2失点で引き分け(プロ併用日で9回打ち切り)。同2回戦の9回裏、同点打を浴びた沖は「すみません(苦笑)」と、西川のすぐ横で頭をかいた。

V消滅も高いモチベーションは不変


 今季は第1週の早大を1勝2敗、第2週の法大戦を1勝2敗で勝ち点を落とした。第4週の慶大戦は1勝2敗1分。3カードを終えて勝ち点0も、紙一重の展開が続いた。優勝の可能性は消滅したが、高いモチベーションは不変。残り2カードを全力で戦い、勝ち点奪取とチームスローガン「結束」を再確認した。

 立大は慶大4回戦から中2日で、明大1回戦で先勝した。木村監督は「選手たちは疲れが出ている」と本音を明かしながらも「明治との対抗戦。まず一つ、取りましたが、次は何とか、勝ち点を取りたいです」と意気込みを語った。「接戦に持ち込めば、ウチのゲームができる」(木村監督)。開幕から結果が伴わない中でも、ベンチはずっと我慢してきた。木村監督は学生たちが取り組んできたスタイルを信じ、ついに、成果として残すことができた。もちろん、明大との勝負はまだ、終わっていない。心の底から笑顔になれるのは、2勝先勝(勝ち点奪取)してからである。

文=岡本朋祐
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