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【大学野球】優勝を逃した法大…選手のポテンシャルは高いが神宮で結果を残せない理由

 

好機での攻撃力不足


法大は早大に連敗。今春のリーグ優勝の可能性がなくなった[写真=田中慎一郎]


【5月19日】東京六大学(神宮)
早大2-0法大(早大2勝)

 法大は早大に連敗し、リーグ優勝の可能性が消滅した。立大との開幕カードを2勝1敗で勝ち点奪取。慶大に1勝2敗で勝ち点を落としたが、東大に連勝して勝ち点を2に伸ばした。だが、この4カード目を落とした。法大は残り1カード。早大が勝ち点を4としたため、2020年春を最後に遠ざかる優勝の可能性が消滅した。

 21年春から助監督、今春から新指揮官として母校を率いる大島公一監督は「早稲田の壁を越えられなかった」と肩を落とした。

 法大は下馬評では6校の中でも、最も戦力が充実していると言われ、優勝候補に挙げられていた。157キロ右腕・篠木健太郎(4年・木更津総合高)、151キロ左腕・吉鶴翔瑛(4年・木更津総合高)の両輪に、マスクをかぶる主将・吉安遼哉(4年・大阪桐蔭高)のほか、旧チームからの野手の経験者も多く残っていた。しかし、現実は厳しかった。

「法政には、良い選手がいる。でも、勝てない」。ここ数年、関係者から何度も聞かれた指摘である。選手個々のポテンシャルはある。なぜ、神宮で結果を残せないのか。

 大島監督は敗因について、重い口を開いた。

「私のマネジメントも、悪かった。能力を引き出せなかった。配置ができなかった。ロースコア。僅差で勝つとなると、打撃の課題もありますが守備、走塁のミスが尾を引く」

 数字としては、課題は明確である。チーム防御率は1.77と、10試合で22失点に抑えている。一方、チーム打率は.237、10試合で31得点と好機での攻撃力不足が露呈した。

「篠木、吉鶴と投手陣が頑張ってくれている。そこで、野手が援護してやらないといけない。クリーンアップ(五番)を任されている以上、チャンスで一本を打たないと、役目を果たせたとは言えません」(主将・吉安)

法大の主将・吉安[左]は悔しそうな表情を浮かべた。最終週の明大戦で意地を見せるしかない。右は大島監督[写真=田中慎一郎]


 法大が残すカードは、次週(5月25日から)の明大戦。大島監督は「もう1回、整えて、明治さんと良い試合をしたい」と語れば、主将・吉安も「もう1回、切り替えて、1週間で作っていきたい」と、対抗戦勝負における勝ち点奪取を固く誓った。明大は勝ち点4奪取でリーグ優勝の可能性を残すカードであり、モチベーションは最高潮。法大としては東京六大学で意地を見せる、格好の舞台と言える。

 どこの学校も、チームの勝利のため、懸命にプレーしている。東京六大学は1925年秋に創設された伝統と歴史があるリーグであり、各6校が威信をかけて対戦5校と激突。そこには、母校のユニフォームを着て戦う責任が伴う。実力があっても、試合で潜在能力を発揮できない原因。勝者と敗者の差が何であるかを冷静に受け止め、再考する必要がある。

 基本的な練習の質・量が不足しているかもしれない。もしくは、グラウンドに立つ前段階の準備、寮生活・学校生活はどうなのか。大学生としての教養を身につけ、努力の意識レベルを引き上げる。野球は人間が動く競技。使い古された言葉かもしれないが、最後は「気持ち」が差に出る。高い技術を実戦で生かすには、頭と心の鍛錬に着手しなければならない。抜本的な改革の時期に来ている。

文=岡本朋祐
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