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【大学野球】早大が4カード連続勝ち点奪取 2020年秋以来の天皇杯奪還へ投打ともに最高の状態

 

投手に代打を送らなかった理由


主将・印出は1回表に右前へ先制適時打、8回表には遊撃内野安打が貴重なタイムリー[写真]に。一塁ヘッドスライディングの気迫を見せた[写真=田中慎一郎]


【5月19日】東京六大学(神宮)
早大2-0法大(早大2勝)

 早大が法大に連勝。開幕から立大、明大、東大に続いて4カード連続の勝ち点を挙げた。

 早大・小宮山悟監督は試合前のミーティングで「この春で一番、重たいゲームになる」と、チームを鼓舞していた。緊迫とした展開を2対0で制した。1回表、8回表に主将・印出太一(4年・中京大中京高)が2本の適時打を放った。試合後、小宮山監督は勝因を「守り勝ったと思います」と振り返った。

 先発の左腕・宮城誇南(2年・浦和学院高)が6回4安打無失点に抑えると、7回からは1年生右腕・安田虎汰郎(日大三高)が救援した。開幕から3試合すべてリリーフで計2回2/3を無失点で2勝を挙げている。最大の武器はチェンジアップ。タイミングを外す緩い変化球で、初見での攻略は難しいとされる。

 7、8回を無失点に抑え、9回表、安田に打席が回ってきた。小宮山監督は代打を送らず、そのまま安田を打席に立たせた。過去3試合で最長は1イニング。打者2巡目に入るところではあったが、指揮官は続投を決断した。

「受けている印出が『安田で行けます』と。本来ならば香西(一希、2年・九州国際大付高)ですが、もう1イニング行かせました」

 なぜ、正捕手の意見を尊重したのか。それだけの信頼感がある。主将・印出は言う。

「(終盤で)一番、怖かったのはロング、本塁打。単打ならば、3本でも良かった。打席に立つと分かるんですが、安田のチェンジアップは本塁打にするのが難しい。しかも、初対戦ですと、フルスイングするのが難しい。(相手打線との)力量を考えたとき、安田のほうが、本塁打が出にくいと判断しました。ただ、2巡目は対応されていたので怖かった」

 先頭打者に四球を与えるも、次打者の中堅へのライナーを中堅手・尾瀬雄大(3年・帝京高)が好捕。あらかじめ右中間へポジショニングを取り、判断の良さも奏功した。次打者は三遊間を抜けそうな打球を遊撃手・山縣秀(4年・早大学院)が横っ飛びで捕球、体勢を崩したままから素早く二塁送球で封殺した。

早大の1年生・安田はチェンジアップを武器に7回から3イニングを無失点に抑えた[写真=田中慎一郎]


 安田は後続を抑え、2点のリードを守り切った。最終回は球際の強さが光った2つのスーパープレー。「(春のリーグ戦開幕までの練習で)きつい特守をやってきました。(基本的な)取り込みもしてきましたが、取れないアウトを取る練習。山縣が先頭に立ち、ボールに必死に食らいついていました。もともと守備はうまかったですが、さらに守備範囲が広がった。チーム全体にも言えることです」。主将・印出は明かした。10試合で4失策。早稲田大学野球部の初代監督・飛田穂洲氏の教えである「一球入魂」を体現している。

「勝ち点5で目標を達成したい」


 残すは最終週・早慶戦。第6週を終えた段階での勝敗を整理する。

1位 早大 8勝2敗   勝ち点4
2位 明大 7勝3敗   勝ち点3
3位 慶大 6勝4敗1分 勝ち点3

 明大は第7週の法大戦で勝ち点を4に伸ばすことが、リーグ優勝への条件である。明大が法大から勝ち点を奪取した時点で、慶大の優勝の可能性は消滅。一方で、明大が法大に勝ち点を落とせば、V争いは早大と慶大に絞られる。慶大が早慶戦で連勝すれば、優勝決定戦という星勘定。早大としては、慶大から勝ち点5を挙げての完全優勝、天皇杯奪還を目論む。主将・印出は言う。

「優勝をかけた早慶戦の舞台を、自分たちで整えた。勝たないと意味がないので、ここまで来たら、勝ち点5で目標を達成したい。気持ちと根性があるチーム。早稲田らしく戦っていきたい」

 2020年秋以来の天皇杯奪還へ――。チーム打率.284、チーム防御率1.58。投打とも最高の状態で最終週の伝統の一戦へと臨む。

文=岡本朋祐
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