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【大学野球】「優勝」が目標も10戦全敗で最下位の東大 指揮官は「反省を生かして、秋は勝てるようにしたい」

 

厳しかった現実


東大は10戦全敗。1998年春から53季連続最下位となった。左から5人目が主将・藤田[写真=矢野寿明]


【5月26日】東京六大学(神宮)
立大5-0東大(立大2勝)

 東大は2024年春の目標として「優勝」を掲げた。1925年秋のリーグ創設から99年で、最高成績は46年春の2位。98年春から昨秋まで52季連続最下位。毎年、チームでは「最下位脱出」「勝ち点2」など、現実的な設定をしてきたが、意識レベルを上げるため、あえてハードルを高くした。

 しかし、現実は厳しかった。10戦全敗。立大との最終カードは勝ち点0同士の対決であり、勝ち点奪取で「最下位脱出」のチャンスがあったものの、2試合連続完封負け。打線が1回戦で2安打、2回戦で3安打と振るわず、53季連続最下位となった。主将・藤田駿也(4年・岡山大安寺中等)は言う。

「悔しい、の一言です。春は成果を上げることができませんでした。シーズン前半は打撃の良い選手が打っても、守り切ることができず、後半は守れる選手が出ても、打つことができない。(攻守で)両立できるメンバーを、秋までに確立させていきたい。良い試合をするチームではなくて、勝てるチーム。一人ひとりのレベルを上げていきたいです」

 ベストメンバーで戦えなかった。昨秋、外野手でベストナインを初受賞した酒井捷(3年・仙台二高)が左膝じん帯損傷のため、シーズンを棒に。また、長打力が魅力の左の強打者・中山太陽(3年・宇都宮高)が法大1回戦で故障し、終盤3試合を欠場した。一方で、シーズン途中に大原海輝(3年・浦和高)が四番に定着し、打率.333、1本塁打、8打点と台頭を見せた。リーグ戦出場のなかった下級生も、神宮で貴重な経験を積んだ。

 投手陣は前半3カードの6試合で計71失点と苦しんだ。「四球撲滅」と「ストライク先行」をチームの約束事として、右腕エース・平田康二郎(4年・都立西高)を軸に、終盤2カードは4試合で20失点と粘りを見せた。立大との最終カードでは1年生左腕・松本慎之介(国学院久我山高)が2試合に救援して2回無失点と、元甲子園球児の実力を発揮。秋へ向けた収穫も、多く見られた。

 主将・藤田にあらためて聞いた。秋のターゲットも変わらずに「リーグ優勝」なのか? 背番号10は大きくうなずいた。

「目の前の一戦に集中する。本気で頑張ることが、結果につながる」。2024年、かつてないチーム目標を掲げた東大。大久保監督は「六大学の中で戦うには、投、打ともベストでないといけない。反省を生かして、秋は勝てるようにしたい」と意気込みを語った。東京六大学リーグ、神宮で戦う舞台がある以上、東大は歩みを止めない。挑戦し続けるのだ。

文=岡本朋祐
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