週刊ベースボールONLINE

大学野球リポート

【大学野球】逆転勝利でV戦線に踏みとどまった明大 宗山塁は「優勝を信じるだけですし、チームとしてやるべきこともある」

 

副将から飛び出した勝ち越し弾


明大は逆転勝利でV戦線に踏みとどまった。決勝2ランの副将・中山[左]はホームランボールを手にし、主将・宗山[右]と笑顔を見せる[写真=菅原淳]


【5月27日】東京六大学(神宮)
明大4-2法大(明大2勝1敗)

 練習は嘘をつかない。4年生がラストイヤーに力を発揮するのは、明大の伝統である。100人以上の部員が同じ屋根の下で合宿生活。野球以前の寮生活を何よりも重要視し、グラウンドでは、死に物狂いで白球を追う。

 明大の活動拠点である「内海・島岡ボールパーク」で真剣勝負してきた学生たちは、神宮で怖いものはない。積み重ねてきた練習の成果を、大舞台で発揮するだけだからである。

 法大3回戦。負ければV逸という瀬戸際で、最上級生が意地を見せた。2対2の8回裏一死二塁から代打・中山琉唯(4年・常総学院高)が勝ち越し2ラン。リーグ戦初打席だった前日の2回戦は、代打で適時打。勝ち点をかけた大一番で、リーグ戦初本塁打。法大の四番手の左腕・吉鶴翔瑛(4年・木更津総合高)のスライダーを強振し、高く舞い上がった打球は風にも乗って、左翼席へ飛び込んだ。

「昨日、出ていたので、リラックスして打席に立てた。外野の頭は越えるかなと思いましたが、まさか入るとは……。優勝の可能性を残していたので、良い結果になるように、準備するだけでした。結果的に打って、勝てたので良かったです」

2対2の8回裏一死二塁から代打・中山が勝ち越し2ラン。副将のリーグ戦初本塁打で、明大は勝ち点を4に伸ばした[写真=菅原淳]


 この日は22歳の誕生日だった。副将・中山の一発に、背番号10のキャプテンは心の底から喜んだ。主将・宗山塁(4年・広陵高)は、3カード目の立大1回戦から上半身のコンディション不良で、8試合を欠場した。登録メンバーからは外れず、ベンチからナインを鼓舞。精神的支柱としての役割を全うした。

「負ければ終わりの試合。内容よりも、とにかく最後9イニングが終わったときに1点でも多く取っていればいい。フィールドの選手、ベンチも一体となって戦うことができました」

「人間力野球」の真骨頂


 主将・宗山の下には、3人の副将がいる。いずれもキャプテンが指名。全幅の信頼がある。

「(一番・中堅の)直井(直井宏路、4年・桐光学園高)と(二番・左翼の)飯森(飯森太慈、4年・佼成学園高)はずっと試合に出ていて、(捕手の)中山は常にブルペンで投手とコミュニケーションを取り、声がけもしてくれました。出たら活躍する。自分一人でできないことを、助けてくれる。副将3人の力は大きくなっている。チームの皆が頑張ってくれ、優勝の望みをつないでくれたことに感謝したい。1日でも早く治して、今度、グラウンドに立ったときには、最高の状態で臨みたい」

 通算98安打で不動の「三番・遊撃」だったチームリーダー・宗山を欠いても崩れない。日々、心身を磨いている「人間力野球」の真骨頂を見せつけた。明大は9勝4敗、勝ち点4で、優勝の可能性を残し、全5カードを終えた。あとは、次週の最終週の早慶戦の結果待ちである。早大は慶大戦で勝ち点(2勝先勝)を奪えば優勝。早大が1勝2敗で勝ち点を落とせば、明大との優勝決定戦。早大が慶大に連敗すれば、明大が優勝という星勘定だ。

 主将・宗山は言った。

「優勝を信じるだけですし、チームとしてやるべきこともある。そこまで練習をしたい」

 明大が取り組むことは変わらない。生活拠点の島岡寮で、規則正しい日々を送る。野球人の誰もが存在を信じている「野球の神様」を味方につけるため掃除、挨拶、時間厳守など、当たり前のことを当たり前に行うだけだ。

文=岡本朋祐
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング