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【大学野球】父親は歓喜…法大・内海壮太が“特別な相手”である明大戦でリーグ戦初本塁打

 

「チームが負けてしまったので、悔しい」


法大の五番・内海が2回表に先制本塁打。4年春にして、うれしいリーグ戦初アーチだった[写真=菅原淳]


【5月27日】東京六大学(神宮)
明大4-2法大(明大2勝1敗)

 1勝1敗。勝ち点をかけた明大3回戦で法大が勝利すれば、明大のリーグ優勝を阻止する一戦だった。2回表一死走者なしから五番・内海壮太(4年・御殿場西高)が左越えの先制ソロ。法大は4回表に姫木陸斗(4年・日大藤沢高)のソロ本塁打で2点リードに広げるも、その裏に追いつかれる、8回裏に決勝2ランを被弾し、2対4で勝ち点を落とした。

 内海は自身のリーグ戦初本塁打が勝利につながらず、試合後は厳しい表情で振り返った。

「詰まったので入るかな? と思ったんですが、風に乗って、スタンドまで届きました。先制点を挙げることができて良かったですが、チームが負けてしまったので、悔しいです」

 内海にとって、明大は特別な相手であった。

 父・将人さんは法大でプレーし、稲葉篤紀氏(日本ハム二軍監督)と同級生。大学卒後後は社会人野球・東芝で6年プレーした。現役時代は息子と同様、右の強打者として活躍し、リーグ戦通算2本塁打はいずれも明大戦だった。最も印象に残る一打は、1994年秋の明大2回戦。11季ぶりのリーグ優勝に王手をかけた大一番で、2対2の12回表に劇的な勝ち越しソロアーチを、左翼席へ放っている。

 父・将人さんは現役引退後、社業に専念し、現在は富山県内に勤務。会議前に愛息のリーグ戦本塁打を、ライブ配信を通じて見届けた。

「会議室に私1人だったので、うれしくて思わず、手をたたいて喜んでしまいました。今日は、春のシーズン最終戦。とにかく、秋につながるゲームを期待していました。我々の時代の第7週は『血の法明戦』と言われていましたが、両校の真剣な姿と、素晴らしい笑顔を、いつも以上に応援していました。両チームとも立派な戦いだったと思います」

 内海の2歳下の弟・優太は、明大野球部に在籍している。広陵高時代は侍ジャパンU-18代表でプレー。今春は故障のため、出場機会はなかったが、将来の左の中心打者として期待されている。父と弟、特別な関係のある明大戦での初本塁打。4年生・内海にとって、秋のラストシーズンに生かされるに違いない。

恩師に対する恩返しの一打


 恩師に対する、恩返しの一打でもあった。御殿場西高を率いていた森下知幸氏が、今年1月17日に急逝。父・将人さんも日大三島高で指導を受け、深い悲しみに包まれた。「親子で森下さんにご指導いただけたこと、また息子が私と同じ大学に入学できたこと、森下さんには感謝しかありませんし、出会えて良かったです」。息子も当然、同じ気持ちであり、4年春のシーズンへの思いは強かった。

 打線の軸として期待された今春は故障で出遅れ、チーム本隊に合流したのは開幕直前。今春は先発で常時出場することはできなかったが、明大との最終カードで形を残した。今春から母校を指揮する大島公一監督は「苦しんだ春。努力の成果が出ました。良かったな、と思って見ていました」と振り返った。

 泣いても笑っても、今秋は学生最後のシーズンである。リーグ戦デビューした3年春には、規定打席不足ながら打率.306。185センチ91キロと恵まれた体格で、飛距離はチームトップクラスで、4年秋にすべてをかけていく。

文=岡本朋祐
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