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巨人・泉口友汰が遊撃のスタメンで存在アピール 「門脇に負けていない」高評価が

 

遊撃でスタメン出場


遊撃でスタメン出場を続けるルーキー・泉口


 巨人の定位置争いが熾烈なポジションは外野だけではない。門脇誠に代わり、遊撃で6試合連続出場と存在をアピールしているのがドラフト4位ルーキーの泉口友汰だ。

 阿部慎之助監督はシーズン前の構想で、一塁・岡本和真、三塁・坂本勇人、遊撃・門脇をレギュラーで起用することを明言していたが、開幕から2カ月して状況に変化が。門脇が25打席連続無安打の打撃の状態が上がらず、47試合出場で打率.217、0本塁打、7打点、5盗塁。自慢の堅守でもリーグワースト2位タイの7失策と門脇らしくないプレーが垣間見えるようになった。

 そこで起爆剤として抜擢されたのが泉口だった。開幕一軍の切符を勝ち取り、代打や守備固めでの途中出場が多かったが、5月22日の中日戦(東京ドーム)以降6試合連続スタメン出場している。エース・戸郷翔征がノーヒットノーランの偉業を達成した24日の阪神戦(甲子園)では、値千金の一打を放った。5回一死二塁の好機で左腕・及川雅貴の142キロの直球を左前にはじき返す先制適時打。1対0で逃げ切り、この一打が決勝打になった。遊撃の守備でも小飛球をスライディングキャッチするなど、好守で戸郷の快挙をおぜん立て。試合後は充実した笑顔を浮かべていた。

玄人好みのプレースタイル


 大阪桐蔭高、青学大、NTT西日本とアマチュアの名門を歩んできたが、日の当たる道を渡り歩いてきたわけではない。大阪桐蔭高では1学年下の根尾昂(中日)、藤原恭大(ロッテ)、柿木蓮(日本ハム)ら「最強世代」が主役に。根尾が遊撃で出場する際は控えに回ることが多かったが、当時から遊撃の守備能力、犠打やヒットエンドランなど打席での引き出しが多い玄人好みの選手だった。3年夏の甲子園は「八番・遊撃」で3試合出場し、7打数5安打の大当たり。ベスト16で敗れたが下位打線の核になった。

 プロ入り後も首脳陣の信頼を高めていく。八番で起用されていたが、26日の阪神戦(甲子園)は六番で出場。2回一死一塁で才木浩人の直球を右前にはじき返し、4試合連続安打と好機を広げた。21試合出場で打率.171、0本塁打、2打点。スポーツ紙記者は「額面の数字以上にチームへの貢献度が高い。門脇とタイプは違いますが決して負けていません。下位打線を打っていますが、二番など打線の潤滑油でも十分に機能するタイプです」と評価する。

強力なライバルとして


 強力なライバルの存在は、門脇にとっても良い刺激になるだろう。新人の昨年は126試合出場で打率.263、3本塁打、21打点、11盗塁をマーク。シーズン終盤に不動の遊撃手だった坂本勇人を三塁にコンバートさせる形で、遊撃の定位置をつかんだ。背番号「35」で入団したがわずか1年後に「5」に変更となったことが、球団の期待の大きさを物語っている。「35」は泉口が着けることになった。

 門脇は週刊ベースボールのインタビューで、「自分が1年前に35番を着けて新人合同自主トレをやっていたことを思うと不思議な感覚ですね。5番になって、1月にジャイアンツ球場へ来たときに、同じ『35』のゼッケンが見えて、不思議な気分というか、『今年もあるんだ』みたいな。でも学年で1つ上の先輩ですし、たくさん経験をされている方なので、学べることもたくさんあると思います。ライバル心もないわけではないですけど、自分がうまくなるために、そうしたことを糧にして前に進めたらなと思います」と語っている。

 レギュラーを明言されていることに関しても、慢心はまったくなかった。

「最初は『うれしいな』と思っていたんですけど、途中から『あんまり関係ないな』と思うようになってきて。レギュラーだと言っても、もし1カ月打てないのに試合に出続けることができるかと言ったら、もちろんそうじゃない。まだ2年目ですし、レギュラーということは意識せずにやっていこうと思っています」

 若い力の台頭はチーム力の底上げにつながる。広島矢野雅哉が急成長で遊撃の定位置をつかみ、本職は遊撃の小園海斗が三塁に。攻守で奮闘する二人が首位浮上の立役者になっている。巨人も泉口と門脇がハイレベルな争いを繰り広げれば、内野で共存する可能性が十分にある。

写真=BBM
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