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元巨人の助っ人左腕がロッテで覚醒 抜群の安定感で「エースになれる」高評価

 

19年ぶり10連勝のロッテ


勝利に恵まれないが大崩れしないピッチングを続ける


 ロッテが強い。5月31日の阪神戦(ZOZOマリン)で1点差を追いかける9回に高部瑛斗の左犠飛で同点に追いつくと、延長10回二死満塁で小川龍成がサヨナラ押し出しを選び、4つの引き分けを挟んで19年ぶりの10連勝。3夜連続の延長戦を制し、貯金を今季最多の8に増やした。

 5月14日のオリックス戦(那覇)から始まった連勝街道。14試合中4失点以上与えたのは2試合のみ。7試合が1失点以下と投手陣が強固だ。佐々木朗希小島和哉、C.C.メルセデス種市篤暉西野勇士の先発5本柱が安定した投球で長いイニングを投げる。佐々木が上半身のコンディションを整えるために交流戦初日に登録抹消されたことは気がかりだが、攻守がかみ合った戦いを見せており大きく失速することは考えにくい。

 先発陣の中で特に安定感が際立つのが移籍2年目のメルセデスだ。8試合登板で防御率1.50。6回でマウンドを降りることが多く、白星になかなか恵まれなかったが、5月25日のソフトバンク戦(ZOZOマリン)で8回3安打8奪三振無失点の好投で今季初勝利を飾った。初回を3者連続三振と最高の立ち上がりを見せると、2回以降は走者を出したが3併殺で切り抜けて三塁を踏ませない。直球は140キロ台前半と決して速い部類ではないが、右打者の内角にカット気味に食い込む軌道でゴロの山を築く。左打者にはスライダー、カーブを有効に使い、チェンジアップで打者のタイミングを外す。芸術的な投球でソフトバンク打線を抑え込んだ。

 ロッテを取材する記者は「今日みたいな投球ができれば7,8回と長いイングを投げられるし、完投が見えてくる。本人も自信になったんじゃないですかね。能力の高さを考えれば、エースになれる投手だと思います。小島、佐々木、メルセデスが切磋琢磨してタイトルを獲得するような活躍をすれば、リーグ優勝も見えてきます」と期待を込める。

日本でのプレーは8年目


 日本の野球に完全に適応しているのは大きな強みだろう。7年前の2017年に来日。巨人に育成選手で入団すると、18年シーズン途中に支配下登録されて22年まで6年間プレーした。巨人では通算83試合登板、29勝28敗、防御率3.14。19年に自己最多の8勝をマークしたが、翌20年以降は4勝、7勝、5勝と殻を破り切れなかった。昨年にロッテに移籍すると、22試合登板で4勝8敗1セーブ、防御率3.33。好投しても打線の援護のない登板が目立ち、額面の数字以上に貢献度は高かった。黒木知宏一軍投手コーチは週刊ベースボールのインタビューで、メルセデスの働きぶりを高く評価していた。

「CCは非常にコントロールが良くて、具体的には言えませんが得意にしているコースがあるんですよね。そこにしっかりと投げ込むことができればほとんどゴロになるんです。逆に言うと、そこに投げられるかどうかが調子のバロメーターです。あいさつもちゃんとしているし、低姿勢でいろんなことを教えてくださいと聞きに来るし、素晴らしい人格者なんです。CCにはどんどん勝ち星をつけてあげたいんですが、早くマウンドから下ろす日もあるんですよ。心苦しいです。やっぱり一生懸命に頑張っている姿を見ると、何とか勝ってもらいたい思いはありますね。我慢して投げていれば勝ち星は増えると思うので、引き続き自分のピッチングを続けてもらいたいなと思いますね」

助っ人の活躍が目立つロッテ


5月25日のソフトバンク戦で今季初勝利を挙げたC.C.メルセデス。左はソト、右は佐藤都志也


 ロッテは助っ人外国人の活躍が目立つ。メルセデスと共に巨人から移籍したグレゴリー・ポランコは昨季本塁打王に輝き、今季は打率.235、6本塁打、14打点。交流戦のヤクルト戦は代打出場となったが、2試合連続で9回に同点適時打を放ちチームを救った。DeNAから移籍したネフタリ・ソトも4月上旬から四番に座り、打率.266、5本塁打、24打点。勝負強い打撃で貢献している。

 助っ人勢の活躍はチームの命運を大きく左右する。首位・ソフトバンクと4ゲーム差。勝利に導くため、C.C.メルセデスは腕を振り続ける。

写真=BBM
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