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巨人・堀田賢慎は球速10キロ減でなぜ抑えられる? 他球団「マイコラスと重なる」

 

ソフトバンク相手に好投


防御率1.26と安定した投球を見せている堀田


 6月1日の西武戦(ベルーナ)で9回に逆転サヨナラ負けを喫した巨人バルドナードが救援に失敗したが、この試合まで防御率0点台と救援で奮闘していただけに責められない。交流戦は3勝2敗。大きなポイントとなった試合が、5月29日のソフトバンク戦(東京ドーム)ではないだろうか。交流戦初戦となった28日に0対2で敗れ、この試合も落とせば勝率5割に逆戻りとなる。先発を託されたのが堀田賢慎だった。

 初回を三者凡退に抑えると、2回は一死三塁のピンチを迎えたが先制点を与えない。栗原陵矢をチェンジアップで空振り三振、廣瀬隆太を145キロの直球で左飛に仕留めた。ソフトバンクの強力打線が圧を掛けてくる。4回も二死一、二塁の場面で再び栗原を迎えたが、スプリットで三ゴロを打たせて切り抜けた。6回は二死一、三塁のピンチを背負って降板したが無失点。救援陣も踏ん張り、1対0で逃げ切った。

 今季は11試合登板で3勝1敗、防御率1.26。開幕当初は救援要員だったが、5月以降は先発に回り、きっちり試合をつくっている。ただ、投球内容を見ると判断が非常に難しい。6回につかまるケースが多いため、この壁を乗り越えることが課題だろう。昨オフに台湾でのウインター・リーグで自己最速の157キロをマークするなど剛速球が魅力の投手だが、今季の直球の球速は140キロ台前半が多い。制球も決して良いとは言えないが、凡打に仕留めて崩れない。

変化球の見分けがつきにくい


 他球団の打撃コーチは、堀田について以下のように分析する。

「打者に聞くと大きなフォームで思い切り腕を振っている割に直球が来ない。途中までチェンジアップ、スプリットと見分けがつきにくいので打ちづらいです。あとはあの投球フォームですよね。角度のある縦振りでカーブを有効に使っている。イメージで重なるのはマイコラス。直球の球速が上がったら、さらにマイコラスに近くなる。まだまだ伸びしろ十分の投手ですし、厄介です」

 現在カージナルスでプレーするマイルズ・マイコラスは巨人で2015年から3年間プレーし、通算31勝13敗、防御率2.18と先発の大黒柱で活躍した。17年はリーグトップの188回を投げ、14勝8敗、防御率2.25で最多奪三振(187)のタイトルを獲得している。150キロを超える直球、スライダー、ツーシームを抜群の制球力で操り、カーブが打者のタイミングを崩す緩急のアクセントになっていた。翌18年にカージナルスでメジャー復帰すると、18勝4敗、防御率2.83で最多勝を獲得している。

日本で引き出しが増えた助っ人右腕


巨人で3年間プレーし、通算31勝を挙げたマイコラス。現在はカージナルスでプレーする


 マイコラスは日本でプレーした3年間について、週刊ベースボールの取材で来語っている。

「日本で成長できたのはまずはメンタル面だったね。先発ローテの座が保証されている。目先の結果にこだわらず、チームのためにどうすれば一番貢献できるかを考えた。マウンド上だけでなく、生活も含めて、すべてにおいて自身をコントロールする術を学んだ」

「日本の打者はしっかりバットに当ててくる。抑えるために、変化球を駆使するなど、(ピッチングの)引き出しを増やした。バントや盗塁などスピードも使ってくるから、フィールディングやけん制など守備もうまくなったよ」

 堀田と同学年で同じ岩手県出身の佐々木朗希(ロッテ)は自己最速165キロの直球を武器に、相手打者をねじ伏せる。堀田もドラフト1位で入団し、剛速球でロマンを抱かせた背景を考えると物足りなく映る見方があるが、まだまだ成長段階であることを考えると150キロを軽く超える直球がよみがえる可能性は十分にある。何より大事なのは「勝てる投手」だ。球が速くても勝利に結びつく投球をしなければ、首脳陣に評価されない。マイコラスはその観点でお手本になる投手といえる。

 同学年でドラフト1位右腕の西舘勇陽がセットアッパーで、リーグトップの16ホールドと奮闘していることも良い刺激になるだろう。山崎伊織戸郷翔征菅野智之が先発で安定した投球を続ける中、堀田が4本目の柱になれるか。チームの命運を握るキーマンの一人だ。

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

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