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【首都大学リポート】白熱の投手戦を制した城西大が一部残留 8回から抑えを任されたエース・阿部克哉

 

意気に感じたベンチ入り


城西大のエース・阿部は主戦としての働きを見せた


【6月3日】首都大学一部二部入れ替え戦
城西大1-0武蔵大(城西大2勝1敗)

 首都大学リーグ一部二部入れ替え戦3回戦。城西大(1部6位)と武蔵大(2部1位)の対戦は両校ともに譲らず、1勝1敗。一部を懸けた大事な一戦は白熱の投手戦となった。

 先制したのは城西大。前日の2回戦でホームランを放った四番・坂口渉(4年・興譲館高)が初回に先制タイムリー。しかし、その後は城西大・長琉之介(3年・下関国際高)、武蔵大・小林匠(3年・星槎国際湘南高)の両先発が好投し、そのまま試合は終盤へ。

 8回表から城西大の抑えを任されたのがエースの阿部克哉(4年・柳井商工高)だった。

 阿部は昨秋のリーグ戦で35回1/3を投げ、自責点は5。防御率1.27はリーグ1位の好成績を収めた。「この冬は体の使い方をいろいろと試してみたのですが、うまくかみ合わず。迷いがあるままシーズンに入ってしまいました」と苦しんだ。

 開幕週の東海大1回戦では先発し、延長10回タイブレークまで投げるも勝敗はつかず。翌日の2回戦は連投で終盤のマウンドを任されるも1イニングを投げて3失点し敗戦投手となった。投手陣の大黒柱として先発にも抑えにも起用されたが期待に応えることができず。「周囲から期待されてプレッシャーはありましたが、そのプレッシャーに打ち勝ってこそエースですから。言い訳になりません」と振り返る。シーズンが終わってみれば1勝3敗。防御率は4点台と低迷し「リーグ戦では迷惑をかけてしまい、エースとして恥だと感じています」とチームも一部最下位で入れ替え戦に回ることになった。

 リーグ戦終了後から入れ替え戦までは2週間あったが「1週目は体を休めつつコンディショニング。2週目はいつもどおりのルーティンで調整しました」。武蔵大との入れ替え戦2回戦で先発した阿部は、5失点で黒星を喫してしまう。それでも「他の投手を相手打線に見せずに温存するため、阿部には最後まで投げてもらいました」と指揮を執る村上文敏監督が話すように9回を完投。140球を投げ、この日の3回戦はベンチを外れる予定だった。

 だが、「継投策も想定していたので、投手のベンチ入りを1枠増やすことになり、だったら『他のピッチャーを入れるよりもエースの阿部を』ということになりました」(村上監督)と急遽、ベンチ入り。阿部本人も「昨日まではベンチを外れることになっていたので悔しく思っていたのですが、自分も投げたかったので」と意気に感じていた。

最後はフォークで空振り三振


 試合は先発の長が6回まで無失点。その後を星野翔太(2年・八王子高)と原田海翔(2年・加古川北高)がつなぎ、8回表から阿部がマウンドへ。「『土壇場で行くぞ!』と言われていたので抑えは予想していました。後輩の投手たちが良いイメージでつないでくれていたので、あとは自分が抑えるだけ。緊張よりも、ベンチやスタンドから声援を受けて気合が入っていました」。交代直後に四球を出し、犠打で得点圏へ走者を進められたものの「リーグ戦でもピンチは経験していますし『自分のボールを投げれば打たれない』と思って投げていました」と次打者をフォークで空振り三振。

 さらに続く打者からもやはりフォークで三振に仕留め、マウンドで雄叫びを上げた。9回表も簡単に2アウトを奪うと、最後の打者はセンターフライに打ち取ってゲームセット。城西大が1対0で武蔵大を下して一部残留を決め、マウンド付近には選手たちによる歓喜の輪が出来上がった。

「最後の打球は際どい打球だったのでセンターを守っていた八木達哉(4年・世田谷学園高)から『最後くらいは三振に取れ』と言われてしまったんですけれど(笑)、全員がこの一戦に集中していたのでチームが一体となって勝てた試合だと思います。昨年の先輩たちが連れてきたくれた一部の舞台を、たった2シーズンで手放すわけにはいかなかったので、残留できて本当に良かったです」

 秋のリーグ戦も一部で戦うことになるが「学生最後のシーズンになるので悔いなく終われるように関東大会、明治神宮大会を目指したいです」と抱負を語った阿部。卒業後は社会人野球でプレーすることが内定しているが、城西大でもう一花咲かせるつもりだ。

文&写真=大平明
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