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巨人のヘルナンデスはV奪回の救世主? 他球団から「全盛期のビシエド重なる」と警戒が

 

シュアなバッティング


6月4日のロッテ戦では8回に2号3ランを放ったヘルナンデス


 交流戦で5勝2敗と好調を維持し、首位をキープしている巨人。その原動力になっているのが、シーズン途中に加入したエリエ・ヘルナンデスだ。

 巨人は得点力不足が課題だったが、ヘルナンデスが交流戦から一軍昇格すると風向きが変わった。来日デビューを飾った5月28日のソフトバンク戦(東京ドーム)から7試合連続安打。その内容も濃い。30日の同戦では5点を先制されたが、3回に丸佳浩の右前適時打で反撃開始。さらに一死一、二塁の好機で、ヘルナンデスが東浜巨のシンカーを左翼席中段に運ぶ1号3ランを放って試合の流れを引き寄せる。岡本和真が10号左越え2ランを放ち一挙6得点。逆転勝利の立役者となり、「東京ドームでファンの前で打てたことがうれしい。ファンの前でインタビューは経験がなかったので、特別な感情でいっぱいです」とお立ち台で笑顔を浮かべた。

 6月2日の西武戦(ベルーナ)では、来日初の猛打賞をマーク。7回一死三塁で右前適時打。9回一死三塁の好機でも右前適時打を放つと、右翼の守備でも2回に蛭間拓哉の右飛をスライディングキャッチ。マウンド上の菅野智之が帽子を取って感謝の意を示す好守で、7対1と快勝した。4日のロッテ戦(東京ドーム)では、8回に左中間3ランを放つなど今季2度目の猛打賞。チーム全体も23安打18得点と打線が爆発して圧勝した。

 セ・リーグ他球団の首脳陣は、「映像で見たけど日本向きの選手だと思う。打撃がシュアで逆方向にきっちり打てる。変化球を打つのがうまく、穴がない。全盛期のビシエド(中日)に重なるイメージ。ヘルナンデスが二番に入ってから、巨人の打線が機能している」と警戒を強める。

打線の起爆剤としての期待


 巨人は主砲として期待されたメジャー通算178本塁打のルーグネッド・オドーアが開幕前に電撃退団。ドラフト3位の佐々木俊輔、2年目の萩尾匡也が奮闘したが、得点がなかなか入らず我慢の試合が続いた。打線の起爆剤として、補強で白羽の矢を立てたのがヘルナンデスだった。

 メジャー通算14試合出場で打率.182、0本塁打、3打点と目立った実績はないが、昨年はレンジャーズ傘下3Aのラウンドロックで137試合出場し、打率.298、18本塁打、99打点、9盗塁をマーク。リーグ最多安打(165本)で、36本の二塁打もリーグ最多だった。今季はラウンドロックで20試合出場し、打率.289、2本塁打、10打点を記録。ミート能力が高く、外野の守備も俊敏で球際に強い。本塁打を量産するタイプではないが、走攻守で高水準のプレースタイルが持ち味だ。

 巨人に加入後は打率.414、2本塁打、8打点の活躍。一番・丸、二番・ヘルナンデス、三番・吉川尚輝、四番・岡本の並びで固定されるようになり、最近5試合で計39得点と破壊力が格段に上がっている。

球団OBの指摘どおりに


二番で強打を発揮し、巨人打線も流れが良くなってきた


 球団OBで野球評論家の廣岡達朗氏は、ヘルナンデスが一軍に合流する前の5月下旬に週刊ベースボールのコラムで、オーダーを固定する重要性を力説していた。

「巨人はここ最近、一番・丸佳浩、二番・坂本勇人にするなど毎日のようにオーダーを変えている。主役がわき役になったり、わき役が主役になる。坂本はクリーンアップに固定すべきだ。吉川尚輝も開幕当初は八番を打たせていたのに、現在は三番に置いている。なぜ巨人はオーダーを決めないのか。少し結果が出なければ二軍へ落として代わりの人間を起用。こんなことをしていたら人は育たない。選手のタイプがクリーンアップ型かリードオフマン型かは一目瞭然である。それが分からない人間が監督、コーチを務めているから目先の結果欲しさにオーダーを変えるのだ。かつて広島山本浩二監督は新井貴浩(現広島監督)を四番で使った。最初は結果が伴わなかったため批判もされたが、山本は信念を貫いた結果、新井を開花させた」

 中日で来日9年目を迎えたビシエドは27歳のシーズンで来日し、首位打者、最多安打のタイトルを獲得するなど打線の中軸として活躍してきた。ヘルナンデスも11月で29歳とこれから脂が乗りきる時期を迎える。V奪回を狙う巨人の救世主となり、ジャパニーズドリームをつかめるか。

写真=BBM
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