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【大学野球】「1点を防ぎにくる『執着心』」…早大・小宮山悟監督が語った青学大との差

 

「最後の試合で課題が見えた」


準優勝の早大・小宮山監督は三塁ベンチ前で閉会式を見守った。すでに、頭は秋のシーズンへと向かっている[写真=矢野寿明]


【第73回全日本大学野球選手権大会】
▼6月16日 決勝 神宮
青学大(東都)2-1早大(東京六)

 早大は2015年以来、9年ぶりの日本一はならなかった。青学大との決勝は13残塁。5度にわたり先頭打者を出したが、好機であと一本出ず、相手のミスによる1点に終わった。

 1点を先制した4回裏は無死三塁から後続3人が抑えられ、8回裏は一死満塁も後続2人が凡退した。ホームが遠かった。早大・小宮山悟監督は青学大との「差」を語った。

「1点を、何が何でも阻止する。それが、全員に浸透されている。その1点を防ぎにくる『執着心』。このトーナメントには(青学大に)分があったかな、と思います」

 説明するまでもなく、青学大が在籍する東都大学リーグには、入れ替え戦が存在する。「リーグ優勝を目指す」一方で、最下位を回避するための「下を見た戦い」も同居。勝ち点勝負(2勝先勝)のリーグ戦ではあるが、同数の場合は勝率で順位を決めるため「1試合」「1点」の重みが、常日頃からたたき込まれている。一方で、東京六大学リーグ戦は、対戦する五大学からの勝ち点を目指す「対抗戦」が醍醐味。それぞれに伝統と歴史があり、学生たちは全力プレーを貫いている。

 1点差の惜敗。小宮山監督は言った。

「最後の試合で課題が見えた。勝つために何をしなければいけないのかを明示して、彼らが消化して、秋は一回りも二回りも大きくなって神宮に戻ってきたい。鍛えがいのある夏合宿を過ごし、春秋連覇を遂げ、今度こそ明治神宮大会で優勝するという思いでいます」

 四番・捕手で主将の印出太一(4年・中京大中京高)は「まだまだ、監督を胴上げするに値するチームではない。厳しい練習をして、日本一を争える舞台に戻ってきたい」と、学生ラストシーズンへ決意を新たにした。追求するのは学生野球の父、早大の初代監督・飛田穂洲氏の教え「一球入魂」を極めることだ。

 今大会は天候に恵まれ、当初のスケジュール通りに全26試合を消化した。東都大学野球連盟代表・青学大の2年連続6度目の優勝で、連盟別の優勝回数が、東京六大学野球連盟の27度に並んだ。決勝は夏を思わせる天候。8000人の観衆が神宮球場のスタンドを埋め、両校のプライドをかけた応援合戦が展開された。一投一打に熱狂する白熱した攻防だった。

 今年の4年生の多くは、高校3年時にコロナ禍で、夏の甲子園出場をかけた地方大会中止を経験してきた世代である。思う存分、真剣勝負を展開できたのは、当たり前の世界ではない。全日本大学野球連盟・長谷山彰会長は閉会式の挨拶で「学生野球は教育の一環」とあらためて語った。勝利を目指すのは目標であって、目的は人間形成。大学野球のあるべき本質を理解した上で、今後も活動を続けていく。

文=岡本朋祐
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