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【大学野球】日本代表主将はこの男しかいない! 抜群のキャンプテンシーを持つ早大・印出太一

 

早大で「勝てる主将」を証明


侍ジャパン大学日本代表候補合宿には45人が参加し、6月24日にはメンバー24人が発表。主将は早大の主将・印出が務める。最終日[24日]のシート打撃では左越え本塁打を放った[写真=矢野寿明]


【侍ジャパン大学代表候補合宿】
[バッティングパレス相石スタジアムひらつか]

 今回の大学日本代表候補合宿における最大の関心は「主将選出」だった。参加メンバー45人を見渡した際、この男しかいないと思った。

 2024年の早大で第114代主将を務めている印出太一(4年・中京大中京高)である。

 高校時代も圧倒的な統率力で伝統校の主将・正捕手を担い、2年秋の明治神宮大会優勝へと導いた。高橋宏斗(中日)とバッテリーを組み、翌春のセンバツでは優勝候補の筆頭だったが、コロナ禍で中止。新チーム結成当初から掲げていたタイトル4冠(明治神宮大会、春のセンバツ、夏の選手権、秋の国体)の目標は、無念にも消滅してしまった。

 センバツ出場32校が招待された2020年8月、1試合限定の甲子園交流試合では智弁学園高(奈良)に勝利。愛知県高野連主催の独自大会優勝を通じ、前年秋の新チームから公式戦無傷の28連勝で終えた。仮に高校日本代表チームが編成されていたとすれば、印出は世代を代表するリーダー候補であったはずだ。

 早大でも2年春から正捕手で、蛭間拓哉(西武)が卒業した3年春からは不動の四番。最終学年で主将となり、今春の東京六大学リーグ戦を7季ぶりに制し、全日本大学選手権は9年ぶりの日本一こそ逃すも準優勝。「勝てる主将」「勝てる捕手」をあらためて証明した。

 選考合宿初日。侍ジャパン大学代表を指揮する堀井哲也監督(慶大監督)は、メニューを動かすリーダー役に印出を指名した(同合宿は1日ごとに交代。2日目は青学大・西川史礁、3日目は愛知工大・中村優斗)。東京六大学リーグ戦では、常日頃から早慶のライバル校として切磋琢磨。印出のキャラクターを理解しており、指揮官の意図が見えてきた。

「初日に抜てきしていただけるとは思っていませんでした。2023年に大学ジャパンを経験している2人(青学大・西川、大商大・渡部聖弥)ではなく、自分が指名されたので、プレッシャーを感じましたけど、早稲田で経験を積ませてもらっているのと、選んでいただいたのは幸せなこと。感謝の思いであると同時に4年生ですので、また、3年生以下が多いメンバー構成。『入り』が大事なので、自分からスタートなので、4年生で空気を作っていきたいと思っていました。早稲田よりも意図的にトーンを上げて、声を出していかなといけないな、と。早稲田の選手は張り上げなくても動いてくれますが、他のチームの人ばかりなので、そういう意識でいました」

「責任を持ちながら、日本の野球を」


 本職は捕手。候補選手全体に求められていたのは「複数ポジション」だった。印出は一塁を守った。「高校のときも1年半、ファーストとサードをこなしていたので、他の捕手よりはアドバンテージがあったかと思います」。不慣れな守備位置でも、軽快な動きを見せた。初日の紅白戦は2試合で6打数無安打だったが、最終日のカウント0ボール2ストライクからのケース打撃(2ストライクアプローチ。プレートから本塁は約2メートル短い16メートル)では持ち味である「対応力」を披露。3打席目の最終打席で左越え本塁打を放った。このタイミングで3日間の全メニューが終了。印出の一発が、選考合宿の「締め」となった。

「打撃投手も思い切り投げてくるので、バットを短く持ちました。ボールにうまく反応できました。ラストバッターだとは思っていなかったんですけど、結果的に良い形で終われたので良かったです」

 最終選考会を経て、印出は24人の代表メンバーに選ばれた。しかも、主将の大役である。堀井監督は選出の理由を、こう説明した。

「全日本大学選手権の決勝に進出したキャプテン。合宿3日間で初日の主将に指名して、良いスタートが切れた。主将は印出が良いのでは、と思いました」。プランとして掲げていた指揮官の思いに見事、応えたのである。

「4年生として最初で最後のジャパン。自分自身、侍ジャパンのユニフォームを着ることを目標としてきました。全国の大学生の代表として行くわけなので、ケガにより、志半ばで離脱した人もいますし、ここを目指して頑張っていたにも関わらず、候補選手に選ばれなかった仲間もいる。また、この合宿で選考されなかった人もいますので、責任を持ちながら、日本の野球をやってきたいと思います」

 大学4年生の世代を代表する自覚も十分ある。早稲田で慣れ親しんだキャプテンナンバー「10」を、侍ジャパンでも着ける。6月29日からは直前合宿が行われ、7月4日に出国。侍ジャパン大学代表チームは第43回プラハ・ベースボールウイーク2024(7月6〜9日、チェコ)と第31回ハーレム・ベースボールウイーク2024(同12〜19日、オランダ)に出場する。堀井監督のスタイルを最も理解する主将・印出が選手とのパイプ役として、ますます存在感を発揮していくはずだ。

文=岡本朋祐
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