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三冠王の最有力候補 他球団から「村上宗隆よりセ・リーグで最も怖い打者」は

 

オスナと共に高い貢献度


来日4年目でさらにバッティングが充実しているサンタナ


 ヤクルトファンに朗報が飛び込んできた。球団が6月21日、ドミンゴ・サンタナ、ホセ・オスナと来年から新たに3年契約を結んだことを発表。今年限りで契約が切れる「最強助っ人コンビ」の去就が注目されていたが、他球団への流出を防いだ。

 報道によると、オスナとサンタナがヤクルトとの契約延長を強く望んでいたという。「スワローズ愛」に満ちあふれた二人はチームに不可欠な存在だ。オスナは長打力と勝負強い打撃に加え、一塁の守備でもグラブさばきが巧みでショートバウンドや難しい送球をきっちり捕球する。サンタナは日本でさらに進化している。メジャーでは2017年にブリュワーズで30本塁打を放つなど、通算77本塁打をマーク。一方で打率3割に到達したシーズンがなく、通算打率.255と確実性に課題を残す打者だった。

 だが、21年にヤクルトに入団すると、コンタクト能力を高めていく。同年は116試合出場で打率.290、19本塁打、62打点をマーク。前年の最下位から20年ぶりの日本一に大きく貢献した。当時野球評論家だった阪神岡田彰布監督は週刊ベースボールのコラムで、サンタナとオスナが加入したプラスアルファに言及している。

「シーズンの終盤に入り、優勝を狙えるところにつけている。ここまで上昇したのは、なんといっても外国人の存在よ。サンタナとオスナが打線に加わってから、ガラリと攻撃力が変化した。2人ともホームランバッターではない。大きいのは山田(山田哲人)と村上(村上宗隆)に任せて、彼らはヒットで打点をマークし、ヒットでつなぎ役に徹している。これで打線が『線』になった。目立たないけど、彼らの貢献度は本当に高い」

今季は春先から絶好調


 22年は左半月板のクリーニング手術を受けた影響で60試合出場にとどまり、打率.275、15本塁打、35打点と不完全燃焼だったが、昨年は136試合出場で打率.300、18本塁打、66打点。助っ人外国人が打率3割に到達したのは、14年のウラディミール・バレンティン以来9年ぶりだった。奥村政之国際グループ担当部長は「ちょっと意外な形というか、打率3割を超えるとは思ってなかった。彼は『日本でこうすれば打てる』みたいなことがわかってきたようなことを話している。そっちのほうで進化したという点では、ちょっとしたサプライズでしたね」と語っている。

 そして、来日4年目の今季。春先から絶好調だ。3、4月に打率.348、2本塁打、16打点で月間MVPを初受賞すると、5月以降も殊勲打が目立つ。12日の巨人戦(神宮)では、6回に高橋礼のチェンジアップを左翼席に運ぶ同点弾、さらに7回二死一、三塁の好機で平内龍太の直球を右前に運ぶ決勝適時打を放った。

日本球界の傾向をつかんで


 ヤクルトで来季以降もプレーすることが発表された翌日の6月22日も、貴重な一発で勝利に導いた。巨人戦(東京ドーム)で8回二死三塁から、四番の村上が気迫のヘッドスライディングで内野安打をもぎ取ると、続くサンタナがカイル・ケラーのカーブを豪快にすくい上げた打球はバックスクリーン左に飛び込む11号2ラン。試合後のお立ち台で「村上も自分の俊足を見せてくれたなと思います。彼も打点を稼げてよかった」と称えた上で、「スワローズファンは日本一のファンだと思っています。これから数年ヤクルトにプレーできることに感謝していますし、全力で貢献することを誓います」と宣言。東京ドームに詰めかけたヤクルトファンから大歓声が起きた。

 70試合出場で打率.309、11本塁打、38打点。打率はリーグトップ、打点はリーグ2位で、本塁打もリーグトップの村上を3本差で追いかける。他球団の首脳陣は、「セ・リーグで最も怖い打者ですね。個人的には村上より厄介です。内角に長打を打てるポイントを持っているし、外角の球を腕が長く引っ張るようなスイングで逆方向に長打を飛ばせる。配球を読んで打つタイプの打者だと思うのですが、日本野球に慣れてきてある程度傾向をつかんできている。三冠王の最有力候補じゃないですか。来季以降も故障がなければ高水準の成績を残すと思います」と高い評価を口にする。

 チームは27日の広島戦(マツダ広島)でサヨナラ負けを喫して借金8にふくらんだが、このままズルズル負けるわけにはいかない。上昇気流に乗せるため、オスナと共に打ち続ける。

写真=BBM
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