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育成経験した巨人のドラ1右腕が覚醒か 防御率0点台で「昨年までと別人」

 

安定した制球力


一軍昇格後、好投を続ける平内


 ドラフト1位で入団して4年――。紆余曲折を経て、巨人のリリーバーで覚醒の期待がかかるのが平内龍太だ。

 6月27日のDeNA戦(横浜)。3点ビハインドの7回からマウンドに上がると、桑原将志をカットボール、オースティンをスプリットで空振り三振に。二死二、三塁のピンチを作ったが、宮崎敏郎をフルカウントからカットボールで遊ゴロに仕留めた。試合は同点に追いついた後にサヨナラ負けを喫したが、平内は成長の跡を見せた。

 プロ2年目の2022年に53試合登板しで4勝4敗13ホールド、防御率4.32をマーク。救援で頭角を現したが、11月に右肘クリーニング手術を受けて育成契約に。昨年は5月に支配下昇格したが制球に課題を抱えて不安定な投球が続いた。11試合0勝1敗1ホールド、防御率3.95。背番号11から66に変更となった。

 185cmの長身に100kg近い体重から投げ下ろされる直球は150キロを軽く超える。だが、制球が定まらなければカウントが苦しくなり、痛打を浴びる危険性が高まる。140キロを超える高速フォークも浮いてしまえば、伝家の宝刀にならない。今季は開幕をファームで迎えたが、イースタン・リーグで14試合登板し、1勝1敗2セーブ、防御率3.21をマーク。14イニングを投げて3四死球という数字が示すように、制球で苦しむ場面が減った。

 5月7日に一軍昇格後、11試合登板で自責点はわずか1。13イニング投げて3四死球で、防御率0.69と安定した投球を続けている。5月29日のソフトバンク戦(東京ドーム)では0対0の延長12回に登板して1回無失点に抑えると、直後に吉川尚輝がサヨナラ打を放ち、22年7月18日ヤクルト戦(神宮)以来681日ぶりの勝ち星をつかんだ。

別人のようなマウンドさばき


 他球団の首脳陣は、「走者を出すと崩れやすいイメージがあったが、今年は別人のようなマウンドさばきを見せている。制球で崩れなくなったので自信をつかんだのでは。カットボール、スプリットの球速が速いので見極めが難しい」と分析する。

 平内がセットアッパーで一軍に定着すれば大きなプラスアルファになる。20年以来優勝から遠ざかっている巨人は不安定な救援陣が最大の不安要素だった。今季は左のセットアッパー・中川皓太が8試合登板で防御率9.00と状態が上がらず、4月中旬に登録抹消。守護神・大勢が右肩の違和感で5月上旬に戦列を離れた。バルドナード船迫大雅高梨雄平泉圭輔らが奮闘しているが、ペナントレースは長丁場だ。勝利の方程式を担っていたドラフト1位右腕・西舘勇陽はブルペンを支えていたが、6月は月間防御率7.71と痛打を浴びる場面が目立つ。リリーバーが1人でも多く活躍してくれることを阿部慎之助監督は望んでいるだろう。

球界全体で大豊作のドラフト


 体調のケアにも万全を尽くす。昨オフに週刊ベースボールの企画で必需品を聞かれると、「マッサージガンです。プロ1年目にジャイアンツ球場に置いてあったのを使ったところ、めっちゃ感触がよくて。ガンの中ではかなり高値の8万円ぐらいしたのですが、自己投資だと思って買いました。ほかのガンよりも深いところまで効くんですよね。ストレッチ中や家でのんびりしているとき、試合中のブルペンなど、ずっと使ってます。僕は僧帽筋に疲労がたまるので、そこを刺激することが多いです。使い始めてから疲れが残らなくなり、スッキリする感覚があります」と明かしていた。

 平内が1位指名されたドラフトは、球界全体で大豊作だった。各球団のドラ1を見ると、栗林良吏(広島)、高橋宏斗(中日)、佐藤輝明(阪神)、伊藤大海(日本ハム)、早川隆久(楽天)、山下舜平大(オリックス)、鈴木昭汰(ロッテ)、木澤尚文(ヤクルト)、入江大生(DeNA)と一軍の主力選手がズラリ。2位以下も牧秀悟(DeNA)、伊藤将司村上頌樹中野拓夢(阪神)、矢野雅哉(広島)、藤井聖内星龍(楽天)、育成枠で宇田川優希(オリックス)、水上由伸(西武)と逸材がそろう。ドラフト2位で入団したチームメートの山崎伊織はエース格に。平内も負けられない。信頼を積み重ね、「勝利の方程式」の一員になれるか。

写真=BBM
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