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広島首位キープの立役者 他球団が「秋山翔吾、小園海斗より手を焼く」巧打者は

 

バッテリーが神経を使う打者


広島打線に欠かせない存在となっている野間


 首位を堅守する広島。その原動力として、勝負強い打撃が光る小園海斗、一番に定着してチャンスメークする秋山翔吾、二遊間で鉄壁の守備を誇る菊池涼介矢野雅哉がフォーカスされる。その中で他球団の首脳陣は「もっとも厄介な選手」として違う名前を挙げた。

「野間(野間峻祥)です。グラウンドレベルで対戦しないと、彼のすごさになかなか気づかないかもしれません。ミート能力が高く広角に安打を飛ばし、2ストライクを取られても簡単に凡打せずに粘る。安打が打てなくても進塁打で走者を進めるなどアウトの質がいい。抑えにくいって言うんですかね。秋山、小園より手を焼く選手です。走塁もうまい。野間がスタメンに名を連ねているだけでバッテリーは神経を使う。敵にすると面倒ですが、味方にいると首脳陣は本当に助かります」

 一番から三番までの打順を打つことが多く、6月1日のソフトバンク戦(みずほPayPay)以降18試合連続出塁。安打を打つだけでなく、選球眼が良く粘った末に四球を選ぶ打席が目立つ。58試合出場で打率.286、1本塁打、15打点。23四球、出塁率.364はいずれもチームトップだ。

相手にダメージを与える動き


 相手にダメージを与える動きを心得ている。「三番・右翼」でスタメン出場した5月26日のDeNA戦(横浜)では、初回一死二塁の好機で先制の右前適時打。さらに二死一、三塁の好機で一塁走者の小園がスタートを切ると、捕手の山本祐大が二塁送球したのを見て、三塁走者の野間が好判断でスタートを切り本塁生還。単打2本で2点を奪う攻撃で試合の主導権を握り、同一カード3連勝を飾った。

 大瀬良大地がノーヒットノーランを達成した6月7日のロッテ戦(マツダ広島)では、0対0の4回二死一、三塁で右中間突破の2点適時三塁打。初回から3イニング連続で得点圏に走者を進めたが生かせず重苦しい雰囲気が漂っただけに、価値ある一打で大瀬良を援護した。右翼の守備でも9回二死一、二塁で最後の打球をキャッチ。大瀬良、小園と共にお立ち台に上がり、「いや、9回になるまで(ノーヒットノーランに)気づかなくて……。すごい声援だなと思って『完封だなあ』と思ったら、(安打が)ゼロだったので一気に緊張しました」と明かし、スタンドから笑いと拍手が起きた。

新井監督を胴上げしたい気持ち


 能力は申し分ない。2018年は126試合に出場し、初の規定打席に到達して打率.286、5本塁打、46打点、17盗塁をマーク。球団史上初のリーグ3連覇に貢献したが、19年以降は度重なる故障がネックとなり不完全燃焼のシーズンが続いた。野手キャプテンに就任した22年も打率.312をマークしたが85試合出場にとどまった。

 現役時代はチームメートで共にプレーした新井貴浩監督を胴上げしたい気持ちは誰よりも強い。22年にFA権を取得したが、同年オフに新井監督から慰留を受けて残留を決断した。週刊ベースボールのインタビューで、その時のやり取りを明かしている。

「『残ってくれ』というよりは、『俺はお前と、龍馬(西川龍馬)と、また一緒に野球をやりたいと思っているから』という感じで話をしてもらいました。あこがれて尊敬している先輩から、そうやって言ってもらって、本当にありがたいというか、うれしかったですね。僕が1年目のときに新井さんと黒田(黒田博樹)さんが帰ってきて。新井さんは大州寮でも隣の部屋でしたし(笑)。本当によくしていただいた。思い出がすごくあります」

 昨年は108試合出場で打率.286、26打点をマーク。5月中旬に右大腿裏の張り、9月中旬に左大腿裏の張りで戦列を離れたが、出塁率.351、得点圏打率.348と自己最高の数字をマーク。4年連続Bクラスから2位躍進の原動力になった。

 今年もコンディションには細心の注意を払っている。春先から首痛、下半身の張りなどで万全の状態でプレーしている期間のほうが短い。6月は13日から体の張りで4試合連続欠場したが、リーグ戦再開のタイミングで復帰。チャンスメークで稼働し、月間打率.311、出塁率.440をマークした。

 勝負の夏場も野間の力は不可欠だ。6年ぶりのV奪回へ――。フォア・ザ・チームの精神で今日もグラウンドを駆け抜ける。

写真=BBM
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